我が家には庭が三つある。などといきなり書くと,実情を知らない人は オオッ!と思うかも知らんが,いえ何,いずれもごくチッポケな一坪庭園,いわゆる猫の額であります。だいぶ以前にブログのどこかで書いたような気がするけれども,改めて説明させていただくと,ガレージ脇の表道路に面したトライアングル・ゾーン(三角地帯)で,各種灌木ならびに雑草類?が密に生い茂り,そしてそれらの中央にはカツラの高木がデデーンと聳えている北東庭【猫の額その1】,門扉から玄関へと続くエントランス両側の,ツルバラやらヒメシャラやらモクレンやらウメの木やらが植えられた,そして片隅にはミーシャのお墓がある東庭【猫の額その2】,居間およびダイニングキッチン外側のウナギの寝床のように細長く,そして今ではほとんど朽ち果ててしまったウッドデッキがある南庭【猫の額その3】,以上の三つである。
ここでは,それらのうちカツラの聳える三角庭【猫の額その1】にまつわる話をする。現在では拙宅のシンボル・ツリーともなっているこのカツラの木は,私共が当地に転居した17年ほど前に,足柄方面にある某植木屋さん(ガーデンセンター)で入手した。その植木屋は,やはり同じ足柄エリアにある某ゴルフ場の出入り業者であるとのことで,たまたまそのゴルフ場支配人の奥方と私の亡き母とが茶飲み友だちであったことから紹介していただいたものである。そして,植木屋さんの方としても,お得意様であるゴルフ場の支配人夫人からの口利きとあらば当方を無下にあしらうことも出来なかったのだろう。そのとき購入したカツラの木をわざわざ拙宅まで軽トラックで運んでくれて,そして職人さん二人がかりで周囲の整備を含め大変丁寧に移殖して下さった(それもこちらがビックリするくらいの安い値段で!) 思わぬところでコネの恩恵を十分に享受した次第でありました。
で,そのカツラの木であるが,購入当時は,高さ約3~4m,幹の太さもせいぜい直径10cm程度のヒョロッとした若木だった。それが年を追うごとにスクスクと順調に生長し,17年を経た現在では樹高10数m,幹の周囲120cmあまりの立派な高木になりおおせたのである。恐らく土壌との相性が良かったのだろう。しかしながら,何分にもコンペイトウハウス(狭小住宅)であるがゆえの悲哀,そのカツラを植栽した三角庭は道路にすぐ面した場所であるため,5年,10年が過ぎ,ズンズン大きくなってゆくとともに,やがて家の前の道路沿いに通じる電線に覆い被さるようになってしまった。すると,ある日突然,電線の所有者たる東京電力(株)の社員が拙宅を訪問し,カクカクシカジカとそのような現況に注意を喚起しつつ,多少は遠慮がちにムニャムニャと何か言い出すわけである。要するに,切って下さい,ってことを。そして後日,東電が改めて電線工事用クレーン車でやってきて,当方の指示を仰ぎながらではあるが,伸びた枝をバッサリと剪定していったという次第である。
そのようなことが,ここ10年ほどの間に何度か繰り返しおこなわれた。切っても切っても木は伸びるというわけで,そのうち枝の剪定だけでは追いつかなくなってしまい,ついには断腸の思い?で主幹の上部もスッパリと切り落とした。もし電線というクビキ(軛)ないしシバリ(縛)がなければ,このカツラの木は今ごろは樹高20m以上にもなっていたのではないかな。
そんなわけで,カツラの高木を盟主とする三角庭は,その周囲にミモザ,アジサイ,ユキヤナギ,ニワゼキショウ,ナントカローズなどなど,多くの草木を従え,現在では一坪庭園ならぬ一坪ジャングル,植物の宝庫といった状態だ。植物は動物を誘う。少し前にはアシナガバチが巣を作ったこともある。キジバトだって営巣しちゃう。夏にはヒグラシ,ミンミンゼミ,冬にはヒヨドリ,シジュウカラ,春には春のチョウが舞い,秋には秋の虫が鳴く,季節を問わず賑やかで,まさに野生の楽園,人工天国であります。土壌動物もかなり豊富に生息するだろうと思われる。一度,ツルグレン採集でもしてみようか知らん。
秋もたけなわの今日この頃は,落葉広葉樹であるカツラもだいぶ紅葉し,三角庭の地面一帯は落葉した葉が幾重にも敷きつめられて,まるでフワフワ絨毯のようになっている。おまけに雑草や灌木も伸び放題なものだから,ヒトがそこに足を踏み入れるのはなかなか困難な所業であり,我が家の住民は誰ひとりとして立ち入ることはない。せいぜいのところ,その庭の一隅には水道メーターが設置されているので,2ヶ月に1度,メーター検針員のオバサンがかなり苦労して入り込んでいるくらいだ(お仕事ご苦労様です!)
そのような三角庭はまた,近所の野良猫たちの「お休み処」として,あるいは「隠れ場」としても好まれ利用されているようだ。白ちゃん,黒ちゃん,黒白ちゃん,三毛ちゃん,などなど,いろんなノラ君たちをそこで見掛けたことがこれまでに何度もある(さすがにハクビシンは見てませんけど)。
さて,昨日のこと。私が仕事場玄関から外に出たところ,玄関前の三角庭の茂みのどこかでガサガサッという音がした。ははん,またノラ君が入り込んでいるな,と思うまもなく,草叢のあいだから一気に飛び出してきた。それは初めて見る茶斑模様のサビ猫(いわゆる雑巾猫)だった。そのゾーキン君は,庭とガレージとを隔てる低いブロックを軽やかに乗り越えると,ダッシュで外へと逃げ出そうとした。けれど,ガレージの鉄柵の隙間が少々狭いものだから,その柵の端にガツン!と思いっきりアタマをぶつけてしまった。おいおい,ダイジョーブかい? と,こちらが心配するまもなく,いちど身を震わせてから再び鉄柵の隙間に向ってゆき,こんどは慎重に,しかし速やかに摺り抜けて,そして道路を渡って反対側の空き地の方へとまっしぐらに逃げ去っていった。
あっ気にとられた思いでそのサビ猫を見送る私は,まるで,カッコウが硝子窓を突き破って慌てて逃げていったのを呆然と見送るセロ弾きのゴーシュのごときでありました。 ああ,済まなかった。アタマにたんこぶ出来ちゃっただろうか? でも,これに懲りずに,またいつでも寄って下さいね。御自由にくつろいでいって下さいね。何のお構いもできませんけど。 決して取って食ったりはしませんから,ね!
ここでは,それらのうちカツラの聳える三角庭【猫の額その1】にまつわる話をする。現在では拙宅のシンボル・ツリーともなっているこのカツラの木は,私共が当地に転居した17年ほど前に,足柄方面にある某植木屋さん(ガーデンセンター)で入手した。その植木屋は,やはり同じ足柄エリアにある某ゴルフ場の出入り業者であるとのことで,たまたまそのゴルフ場支配人の奥方と私の亡き母とが茶飲み友だちであったことから紹介していただいたものである。そして,植木屋さんの方としても,お得意様であるゴルフ場の支配人夫人からの口利きとあらば当方を無下にあしらうことも出来なかったのだろう。そのとき購入したカツラの木をわざわざ拙宅まで軽トラックで運んでくれて,そして職人さん二人がかりで周囲の整備を含め大変丁寧に移殖して下さった(それもこちらがビックリするくらいの安い値段で!) 思わぬところでコネの恩恵を十分に享受した次第でありました。
で,そのカツラの木であるが,購入当時は,高さ約3~4m,幹の太さもせいぜい直径10cm程度のヒョロッとした若木だった。それが年を追うごとにスクスクと順調に生長し,17年を経た現在では樹高10数m,幹の周囲120cmあまりの立派な高木になりおおせたのである。恐らく土壌との相性が良かったのだろう。しかしながら,何分にもコンペイトウハウス(狭小住宅)であるがゆえの悲哀,そのカツラを植栽した三角庭は道路にすぐ面した場所であるため,5年,10年が過ぎ,ズンズン大きくなってゆくとともに,やがて家の前の道路沿いに通じる電線に覆い被さるようになってしまった。すると,ある日突然,電線の所有者たる東京電力(株)の社員が拙宅を訪問し,カクカクシカジカとそのような現況に注意を喚起しつつ,多少は遠慮がちにムニャムニャと何か言い出すわけである。要するに,切って下さい,ってことを。そして後日,東電が改めて電線工事用クレーン車でやってきて,当方の指示を仰ぎながらではあるが,伸びた枝をバッサリと剪定していったという次第である。
そのようなことが,ここ10年ほどの間に何度か繰り返しおこなわれた。切っても切っても木は伸びるというわけで,そのうち枝の剪定だけでは追いつかなくなってしまい,ついには断腸の思い?で主幹の上部もスッパリと切り落とした。もし電線というクビキ(軛)ないしシバリ(縛)がなければ,このカツラの木は今ごろは樹高20m以上にもなっていたのではないかな。
そんなわけで,カツラの高木を盟主とする三角庭は,その周囲にミモザ,アジサイ,ユキヤナギ,ニワゼキショウ,ナントカローズなどなど,多くの草木を従え,現在では一坪庭園ならぬ一坪ジャングル,植物の宝庫といった状態だ。植物は動物を誘う。少し前にはアシナガバチが巣を作ったこともある。キジバトだって営巣しちゃう。夏にはヒグラシ,ミンミンゼミ,冬にはヒヨドリ,シジュウカラ,春には春のチョウが舞い,秋には秋の虫が鳴く,季節を問わず賑やかで,まさに野生の楽園,人工天国であります。土壌動物もかなり豊富に生息するだろうと思われる。一度,ツルグレン採集でもしてみようか知らん。
秋もたけなわの今日この頃は,落葉広葉樹であるカツラもだいぶ紅葉し,三角庭の地面一帯は落葉した葉が幾重にも敷きつめられて,まるでフワフワ絨毯のようになっている。おまけに雑草や灌木も伸び放題なものだから,ヒトがそこに足を踏み入れるのはなかなか困難な所業であり,我が家の住民は誰ひとりとして立ち入ることはない。せいぜいのところ,その庭の一隅には水道メーターが設置されているので,2ヶ月に1度,メーター検針員のオバサンがかなり苦労して入り込んでいるくらいだ(お仕事ご苦労様です!)
そのような三角庭はまた,近所の野良猫たちの「お休み処」として,あるいは「隠れ場」としても好まれ利用されているようだ。白ちゃん,黒ちゃん,黒白ちゃん,三毛ちゃん,などなど,いろんなノラ君たちをそこで見掛けたことがこれまでに何度もある(さすがにハクビシンは見てませんけど)。
さて,昨日のこと。私が仕事場玄関から外に出たところ,玄関前の三角庭の茂みのどこかでガサガサッという音がした。ははん,またノラ君が入り込んでいるな,と思うまもなく,草叢のあいだから一気に飛び出してきた。それは初めて見る茶斑模様のサビ猫(いわゆる雑巾猫)だった。そのゾーキン君は,庭とガレージとを隔てる低いブロックを軽やかに乗り越えると,ダッシュで外へと逃げ出そうとした。けれど,ガレージの鉄柵の隙間が少々狭いものだから,その柵の端にガツン!と思いっきりアタマをぶつけてしまった。おいおい,ダイジョーブかい? と,こちらが心配するまもなく,いちど身を震わせてから再び鉄柵の隙間に向ってゆき,こんどは慎重に,しかし速やかに摺り抜けて,そして道路を渡って反対側の空き地の方へとまっしぐらに逃げ去っていった。
あっ気にとられた思いでそのサビ猫を見送る私は,まるで,カッコウが硝子窓を突き破って慌てて逃げていったのを呆然と見送るセロ弾きのゴーシュのごときでありました。 ああ,済まなかった。アタマにたんこぶ出来ちゃっただろうか? でも,これに懲りずに,またいつでも寄って下さいね。御自由にくつろいでいって下さいね。何のお構いもできませんけど。 決して取って食ったりはしませんから,ね!