松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

「はぜのき館」

2007-10-06 23:56:14 | 復活奮闘日記
JR水俣駅の裏の道から坂道を上っていくと
「侍(さむらい)」という珍しい名前の集落があります。
その集落に肥後と薩摩を結ぶ「薩摩街道」がのびています。
車が離合するのがやっとの細い道なんですが、
その道沿いに、「侍街道はぜのき館」があります。

「はぜのき館」は思ったよりこぢんまりとしていて
公民館のような雰囲気でした。
入り口には「圧力機」が置いてあります。


これは櫨の実を粉砕して蒸したものを圧力で蝋を流し出すものです。
「圧力機」の左にあるのは、「圧力機」以前に使われていた木製の箱形「ろう絞り機」です。
昔は、三枚の木の板の間に櫨の実を蒸したものを挟んで、
上から押しつけながら、同時に両側から打ちつけて圧力をかけていたとのことです。

「はぜのき館」に立ち寄った後、
私は水俣市はぜ振興会会長の緒方さん宅に行きました。
緒方さんは、櫨の生育にかけては第一人者です。
少ない時間でしたが、櫨の木の世話の仕方など、
いろいろとお話ししていただき、とても勉強になりました。

「櫨を育てたいという人がいたら、遠慮なく来てください。
年を取ったから、出向くことはかなわんけれども、
来てもろうたら、お教えしましょう。」
緒方さんの指導により、ずぶの素人から始めて
立派に櫨を育てている方もいます。
緒方さんの暖かい言葉に、私も力づけられました。

とはいえ、見回してみたら山間部は過疎化が進んでいて、
櫨農家はみな高齢になっています。
手入れが行き届かず、ツタに覆われた櫨の木や、
藪になっている林もありました。

全国の櫨の生産のうち、水俣は3割を占めていますが
その水俣ですら、次世代へ続く道が見えていないような気がしました。

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