25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

THE SHAPE OF WATER

2018年06月22日 | 映画
 「The Shape of Water」を観た。最新のアカデミー賞作品賞、監督賞作品である。腮呼吸と肺呼吸両方の呼吸ができ、体には鱗があり、二本足で立つ。塩水の中にいるほうが心地よいらしい。そういう半魚人のような生物が生け捕られて、アメリカの秘密研究所運ばれる。
 主人公の女性は口がきけない障害者である。彼女は秘密研究所の清掃人をしており、優しい同僚がいる。アパートにも心優しい絵描きも住んでいた。
 この生物は解剖されることになっている。
 
 奇妙な映画であり、暗い画像であるが水を映すシーンは美しかった。舞台は1962年だった。ソ連との冷戦時代である。障害者の彼女は性欲ももつ生身の人間である。彼女は口の聞けない半魚人も同じではないかと思う。次第に半魚人を助けようと思い始める。
 卑猥な言葉、汚い言葉を使う人間も意図的にセリフの中にある。出世欲に充ちた管理人は半魚人に指の2本を食いちぎられるが、清掃員の女性には従順である。「共感」しあっているのだ。

 「愛」について描かれた映画だ。しかも綿密である。あり得ない話だが、その半魚人を何物かに象徴させているように素直に思える。人間というものが凝縮されているように思える。
 
 まだこの映画を消化できないでいる。夫婦仲が悪い清掃員の女性。写真よりも優れた絵画を描きたい絵描き。ソ連のスパイである博士。なんとしてもこの計画を遂行したい管理人。はて、人間とは七面倒臭い存在であることがわかる。
 
 最近の映画では「パイ オブ ウォーター」に続き優れた映画であった。
 ぜひおすすめしたい。