25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

Three Billboards

2018年06月26日 | 映画
Three billboards は見応えのある映画だった。Shape of water とアカデミー賞を争ったにはわかる。shape of water の女優はもらえるはずの主演女優賞を逃したのはきのThree Billboard に女優の演技が半端なくすごかったからだ。
 舞台はミズリー州のある尾鷲みたいな田舎町。町の人は顔見知り。黒人への差別、取り締まりも厳しく、警察官は締まりなく仕事をしている。主人公の女の娘はレイプされてた上で焼き殺された。母、なけなしのお金で、国道に3つの広告看板をレンタルした。いつになったらv犯人は捕まる? 警察署長は何してるの、と捜査の連絡もよこさない警察への抗議である。これが波紋を呼ぶ。
  内容の紹介は省かせていただいて、あまりにもアメリカ的であることに驚く。想像を絶する。
 警察署長は膵臓がんで余命も少ない。白人仲間からは尊敬されている。かれは自殺する。馬小屋で。なんで馬小屋? 部下の一人が広告屋の男を襲う。母は警察を襲う。なにこれ?と思う。
 自分で自分の身を守るのが鉄則である。腐敗した警察に果敢に怒りをぶちまける。犯人がわかっていても捕まえようともしない。

 アメリカはこのまま統一された国家であり続け得るだろうか。
 たかだか150年くらいのものである。それぞれの州の独立や合併もあり得る。民主党と共和党の戦争だってあり得る。最終のあたりで犯人らしき人物の背景も暗示される。
 黙示録のような映画だった。アメリカと日本はまるで正反対のようにちがうなあ、と思うのである。とんでもなく激しく、戦闘的だ。
 No Country や Fargo をみたときにも思った。壮大な愛を語る映画もあれば徹底したアクション暴力映画、はたまた壮大なSF映画、コメディー映画。これらの中に現実のアメリカが散らばっているのだろう。それにしても、よくよく考えれば理解しがたいのである。ぼくは自分のことを無神論者で合理的に物事を考え、感情というものもわかっているつもりでいたが、どうやら歴史のページは超厚く深く、サピエンスが分化しているのではないかと思えるほどだ。
 考えこまされた映画だった。だが面白い。アカデミー賞作品賞か監督賞でもよかった。