今日の料理(こだわりがないのがこだわり)

フードリテラシーに沿いつつも、なるべく夢のある料理や飲食をジャンル・国境・時代・時間をボーダレスに越えて書いています。

イギリス料理への想い。

2012年06月12日 | 素材
ここでよく出てくるイギリス料理はマズイと言われるけれど、じゃあ、それについて1度は思うところを書いておこう。

私は、中学生の頃、料理王国という雑誌の「パイ料理」特集というのを見て、
何だ?これ、パイの中にフォアグラパテやフィレ肉が入っている!!っと、衝撃を受けた。厳密に言えばフランス料理だったのだが、他のページに「パイ生地」についての歴史と成り立ちが書いてあり、パイ生地は、当時イギリスで農夫が畑に持っていくオニギリみたいなものとして、肉や野菜を服のポケットに入れて行く為、パイ生地が作られ、
当時はパイの中身だけを食べ、周りのパイ皮は畑に捨てていたということだった。
(日本の海苔みたいに、食べない)

その次のページに、イギリス人は昨夜の余りのシチューなどを、
麺棒が無くてもワインのボトルなどを使って、シュっ、とパイ生地を作って、そこに肉や野菜がゴロンとしたシチューを入れ、オーブンで焼いたりするのを意図も簡単に作ってしまう写真が掲載されていて、私の料理人生はそこから始まった。

最初に出てきた、フィレ肉やフォアグラの入ったパイ料理とあいまって、イギリス料理に対して興味を持ち始めたんだ。

イギリス料理は味が無い。ということらしいが、よく調べてみると、味が無いのではなく、味を付けないという概念らしい。
料理人は火を通す・加熱する所までが仕事で、味は各自が自分で付ける、他人に勝手な味を付けられるぐらいなら、自分で付けた方が良い。そういう概念らしい。
(日本で解り易く言うと、唐揚げによく、勝手にお店の料理人が”自分が味を付けたい”という概念が強すぎて、唐揚げに甘酢をかけてある場合があるが、注文をする時、お客様は(普通の)”唐揚げが食べたい”というキモチで注文をするのだと思う。でも無いから仕方なく甘酢・黒酢がかかったものを頼むんだ、で、少しガッカリしてお店全体にそのネガティブなイメージが付いてしまう。唐揚げの甘酢がけなら、中華料理店にいって、「油淋鶏」を頼むと思う、決して日本の居酒屋や定食屋で「油淋鶏」は期待していない。赤提灯の焼鳥屋でフォアグラ出しても頼まないでしょ?それと同じだ。)

少し話はズレてしまったが、
やはり料理は素材の味を活かす事が大前提にあるし、
味を自分で付けるという行為は、素材の味・モノの味が解っていないと出来ない作業だと思う。
ちょっと言葉は悪いが、なんでもかんでも同じ濃い味なら、そのまま塩食べろやという感じだ。
塩だけで肉を食べれば、肉本来の味も解るでしょうし。

ヨーロッパを旅してみて、国を越えた時に、やはりその国にはその国の味覚のポイントや美味しいという基準って違うと感じたんだ。国同士で違うのだから、もしかしたら、人によっても味覚のポイント・美味しいという基準って違うのかもしれないと考えた時に、自分の味を押し付ける事を止めた。
味の為に、人を傷付ける事を止めた。

だから素材の味を活かす、イギリス料理にハマっていったんだ。
でもイギリス料理を教えてくれるところなんてあまりない。
学んだ所で、日本で大切な人達を食べさせていけるとは到底思えない。
長になるということは、社員とその家族の生活の事まで考えなければいけないんだ。
自分のやりたい事だけを通せるものではない。
もしかしたら長(や経営者)というのは、自分がやりたい事は1番出来ないポジションなのかもしれない。儲かろうと儲かるまいと、毎月の人件費と家賃を払う怖さに耐えながら。

また話が逸れてしまったが、

イギリス料理はどんなものがあるのか調べてみた。

◎先ず、主食はしいていえば「ジャガイモ」だ。
あるレストランで日本人が食事をした時に、パンが付いてこなかったらしい、その日本人は「せめてパンぐらいないの?」と言うと、「ジャガイモがあるでしょ」と言われたらしい。(お客様に向けて言っちゃうんだ、そんなこと:汗)

なる程、日本でも青木昆陽が栽培したサツマイモなどの芋類は、飢饉の時に、多くの人々の命を救った。様々な国の様々な冒険家が新たな大陸を発見した大航海時代もジャガイモはビタミンを補給する食材として脚気や壊血病などの病気の予防には必需品だったという。それに味が無くても芋類は、芋本来の味だけで食べられるし。

◎代表的(全部書くとキリがないので)な料理は、
ローストビーフ 
ローストチキン 
ハギス     
ジャケットポテト
・ステーキ&キドニーパイ
ヨークシャプディングなどのプディング類
フィッシュ&チップス
ミートパイ
スコッチエッグ
イングリッシュマフィン
・サンドイッチ(イギリスだけに限らないが、「キューカンバー」という塩揉みしたキュウリとバターのサンドイッチをアフタヌーンティーに)
   ・
   ・
   ・
  etc

◎お菓子は、
スコーン
ショートブレッド(クッキーやビスケットとは、バターの配合量が違うらしく絶対に「ショートブレッド」と言うらしい)
トライフル
・ビクトリアサンドイッチ・・・スポンジケーキにジャムをはさんだもの。
・甘いプディング類・・・カスタードプリンなども。
ミンスパイ
・カスタードに潜水艦の様に沈んだアップルパイ・・・めちゃ、ウマイ!!
・コーニッシュアイスクリーム・・・濃い味らしい。
・アップルクランブル・・・読んで字の如く林檎とクランブル(小麦粉とバターの生地)をオーブンで焼き、アイス等を添えて。
・バナナブレッド・・・パウンドケーキみたいなものでしょうか。
   ・
   ・
   ・
  etc
*アフタヌーンティーが盛んなので
 お菓子の方が気合が入っているようだが、
 クッキーっ「ぽい」お菓子等、粉モノ類の特徴を活かしたお菓子が多く、
 何処か私達が慣れ親しんできたものに近い気がする。


◎台所(キッチン)について。
イギリスのキッチンについては、どこかで何かに書いたかもしれないが、
「系統立てて整理されている」という。
どういうことか?というと、鍋類なら鍋類、ハーブ類ならハーブ類と、誰が初めてそのキッチンを使っても使い易い様にパッと一目で解るという。
それって、多くの不特定多数の人間が働く飲食業でも必要な事ではないか?と思わされた。(それが家庭でも出来ているというのはスゴイと思う!!)

◎イギリス料理の修正点
イギリス料理は火を通すまでが調理人の仕事と書いたが、食に無関心ということが高じて、調理法が大雑把になっている事が、他の国の料理から指摘される事の1つだ。
例えば、野菜はクタクタになるまで煮てしまうとか、油でフライドする時は、揚げ過ぎてしまうなどだ。
*確かにそれはよくないとは思うが(野菜等は高齢者には良いのかな?自分がその立場になってみないと中々・・・)、最近は野菜は煮過ぎるとビタミンが流れ出てしまうなど、意識が少しづつ変わってきているらしい。


◎まとめ

美味しいとは言えない。
だが、不味いとも決っして言えない。

いつも食べたい味なんだ。

他のイギリス料理を賞賛するサイトで
「飯は飯だ」という言葉を見付けた。

本来いつも食べる料理とはそうあるべきだと思う。