
はくうんぼくの花だ。
花の付け方から言えば「うつぎ」の花にも似ているが、これは「はくうんぼく」である。
漢字で書けば「白雲木」と表現する。
納得!
いま東京の街路樹で、静かに実生を着けている。
木によっては、たわわに着けている。
この時期、一番綺麗だったのが有楽町のビッグカメラ近辺の街路樹であった。

白雲木
青い実生が実るころ
白い花の欠片が
深く沈澱してぼくを苛んでいる
花のころ
ぼくは美しき精神を失っている
美しき精神は
光を跳ね返す澄んだ水面から
張力をもって水滴を落とし
すがるように輝いた
青い実生はその記憶を丸さの中に
閉じ込めて
カーンと陽光を跳ね返してしまった
ぼくはその青い実生の
丸い天体を怖れた
未来永劫ぼくは天体を駆け続けるだろう
誰かがこの箱の蓋を開けない限り
美しき精神に水滴を落とさせてしまった
ぼくへの責めとして
未来永劫ぼくは
この天体を駆け続けるだろう
総状花序の韻のとおり咲き続ける
白雲木の
精霊に
ぼくの汗を捧げるために
話題を大胆に変えると、中華料理に「雲白肉(ウンペイロウ)」という豚肉料理が存在する。
夏場にアッサリと食べられ、しかも体力の消耗を防ぎつつ回復力を保有している。

白雲木と雲白肉・・・。
なんの関係もないか?
いやいや、白い茹でた豚肉が緑のキューリで際立った料理である。
色彩感覚がよく似ているではないか。

荒野人