エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

雲は遊弋する

2011年10月02日 | ポエム
今日の雲は、まさにウロコ雲であった。
だがしかし、どことなく晩夏の残滓が残ってもいる。



暑い一日になったのである。






        雲


      それは
      穹を遊弋しつつ輪廻転生を厳正に具現化するのだ
      生々流転を反芻するかのように繰り返し
      繰り返しながら
      流れていく
      それは
      生命の炎を燃やすかのように
      時に赤く染まり発光するかのように揺らぐ
      それは
      刹那の美学であって悠遠ではないのだ

      それは
      誰もの心象風景の中で重要な役割を果たしている
      なにより記憶の中で描かれ彩色される
      記憶は瞳孔を瞠(みは)らせて螺旋的に
      思い出に刻印されるのだ
      刻印されたそれは
      地団太を踏みつつ
      だがしかしと詠嘆する

      それは遊弋するたびに正体を薄れさせ
      穹を痺れさせ
      心象風景を原風景へと昇華させ
      輪廻転生を現出させ
      刹那をより細分化させ
      百光年の愛情をアガペーへと上りつめさせ
      それは瞳孔に像を結ぶのだ

      ぼくはそれを
      雲と呼び同士であると認知する
      ある人はそれを雲古と呼んだ
      ある人はそれを綿菓子に連想を繋げた
      ある人はそれを天才と称した
      ぼくはそれを
      雲と呼びたい





ぼくは雲が好きである。
石川啄木は雲は天才であると喝破したけれど、ぼくは雲の正体を掴みきれない。

雲は舞踏のような表現者であるからである。



今日・・・ぼくは雲と遊んだのである。





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 荒野人