エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

みちのくの海は澄みきって

2011年10月25日 | 旅行
みちのくの海は澄みきっていて、あの巨大な津波の欠片すら見せない。
しかし、浦の街はひとたまりもなく海に呑みこまれてしまったのであった。



それゆえにこそ、海の蒼が凄まじく身体に沁み込んでくるのである。
人々は、この海に育まれた。



呑みこまれた、生きてきた証を仕切りなおして作ろうとしている。
逞しい人々である。



ぼくは、この海が憎い。
だがしかし、みちのくの人たちはこの海にもう一度自分を賭けると言う。

海を愛しているのだ。



リアス式海岸線は美しいし、景勝に満ち満ちている。
それだからこそ、津波に襲われた時にはその被害は甚大だったのだ。

海に育まれ、海に襲われた人々は犠牲者を乗り越えて生きんとする。
崇高な精神力である。



脱帽。
そして哀悼の誠を捧げるものである。


     身に沁みて海のいぶきにおののけり      野人





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 荒野人