エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

金木犀の香り

2011年10月05日 | 
金木犀が香るのである。
そこはかとなく香り、時にその正体を見つけることなく通り過ぎていく。

嗅覚と視覚を全開にして町を歩くのだけれど、見つけられないとき「そんな季節なのだ!」と合点して先に進む。



どの木も満開である。
だから、この香りはあと数日の命である。



金木犀こそ、秋のシンボルでありながら短く最も美しい時期を惜しまれるのである。



この匂いの根源は一体何なのだ。
そう思いつつ香りに酔ってしまう。



惜しまれつつ散り逝く花の代名詞でもあるのである。

中国に桂林という地方都市がある。
璃江下りで有名な町である。

この町は木犀の町である。
桂林の桂という文字は金木犀の意味である。
金木犀の林が、桂林という地方都市なのである。



璃江下りは、全行程、川の両岸に山水画の世界が広がっている。
桂林の船着き場から、上流の陽朔というまちまでの行程である。

桂林は木犀の咲く時期、町中が噎せ返るような香りに満たされる。
美しい町である。

昨日、ぼくは久しぶりに「銀木犀」の花と出会った。



これが銀木犀である。
金木犀の金色と違って、かなり白っぽいのである。

香りは同じである。



花のつき方も同じ、匂いも同じ。
色白であることだけが違うのである。



だがしかし、木犀である。



ぼくたちに、画然として秋の到来を告げてくれる木犀なのである。





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