エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

金木犀は散り行く

2011年10月10日 | 
金木犀の命は短い。
花が開く時の芳香は、開ききってしまうと忽ち褪せてしまう。

芳香を失うと同時に、樹の下を黄色く染めるのである。



金木犀の横には櫨の葉が紅葉しつつあった。



本当は、もっともっと紅いのである。
気候が変なのだろうか・・・、赤さが少ないのである。
もっと寒くなってくると紅葉や黄葉に期待が持てる、そんな季節に入ってきた。



金木犀の香りは、ぼくをあの日に連れて行ってくれる。
淡い初恋である。



少しだけ肌寒くなってきた街を、ひたすら歩いた。
彼女の使っている石鹸の匂いは甘かった。
ぼくの血液は逆流しそうだったけれど、それを押さえてひたすら歩いた。

疲れて街灯の下のベンチで休んだのだった。



金木犀の花が散る時、しかし樹によっては若葉が萌えている。
サルスベリであろうか。


不思議な気配である。





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 荒野人