国営昭和記念公園は、広いのである。
チューリップに辿り着くまで、幾つもの関所を通り過ぎなければならない。
無視して通れない花々があるのだ。

立川口から入って、噴水を過ぎ池に向かって歩く。
池の手前で左折。
直ぐ右手に、鮮やかな枝垂桜が出迎えてくれるのである。

これは花豆王である。
葉が無く、花が散った後に葉っぱが出てくる。
幹はすべすべした風合いで、あたかも百日紅である。

八重桜ぼってり咲きぬ池の面 野 人

山吹の群生である。
黄金色の花々が群れを成す。
その季節への潔さ。
同志よ!
ぼくはそう声をかけたかった。

ムスカリの絨毯だ。
木の根元を縫って咲く。
目が覚醒するかのように「眩しかった」のである。

シモクレンである。
「紫木蓮」である。
白木蓮もその純潔が愛おしいけれど、シモクレンはドレスを着た淑女である。
とまれ、これほどの「花の関所」を通り抜けるのに時間がかかるのである。
だがしかし、それが嬉しい。

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荒 野人
チューリップに辿り着くまで、幾つもの関所を通り過ぎなければならない。
無視して通れない花々があるのだ。

立川口から入って、噴水を過ぎ池に向かって歩く。
池の手前で左折。
直ぐ右手に、鮮やかな枝垂桜が出迎えてくれるのである。

これは花豆王である。
葉が無く、花が散った後に葉っぱが出てくる。
幹はすべすべした風合いで、あたかも百日紅である。

八重桜ぼってり咲きぬ池の面 野 人

山吹の群生である。
黄金色の花々が群れを成す。
その季節への潔さ。
同志よ!
ぼくはそう声をかけたかった。

ムスカリの絨毯だ。
木の根元を縫って咲く。
目が覚醒するかのように「眩しかった」のである。

シモクレンである。
「紫木蓮」である。
白木蓮もその純潔が愛おしいけれど、シモクレンはドレスを着た淑女である。
とまれ、これほどの「花の関所」を通り抜けるのに時間がかかるのである。
だがしかし、それが嬉しい。

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