花梨の花は晩春の季語であるけれど、往々にして春の盛りには花が零れてしまう。
淡いピンクの花は、煽情的でさえある。
エロチシズムの極致と言っても良いだろうか。
肉感的であり、攻撃的であったりする花である。

花梨の花誰にも寄らず咲きにけり 野 人
甘やかな花梨の花の火陰の色 野 人

この花は、ブラック・ホールのようにぼくを誘い、そして沈殿させていく。
沈殿したぼくの魂は、壊死していく。
花梨の花に寄す
その重さに
ぼくはたじろいだ
きみをかき抱いた
あの記憶が
まざまざと蘇ってくる
と
云うのだ
そのあまりの重さは
記憶の総量をかけて
ぼくを苛む
官能的な
優れて官能的な
うたかたの印象よ
花梨の花の
ただ一人の存在よ
ぼくは改めて
きみの膝下に跪こう
なんの躊躇いもなく

秘すれば花。
上花の精神世界にぼくは耽溺していく。
限りなく耽溺していく。
俳句の575という限られた言葉で、どこまでこの狂おしい心象風景が表現出来るというのだろうか。
きみよ・・・秘すれば花なのだ。
きみよ、ぼくの前では秘する事勿れ。
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荒 野人
淡いピンクの花は、煽情的でさえある。
エロチシズムの極致と言っても良いだろうか。
肉感的であり、攻撃的であったりする花である。

花梨の花誰にも寄らず咲きにけり 野 人
甘やかな花梨の花の火陰の色 野 人

この花は、ブラック・ホールのようにぼくを誘い、そして沈殿させていく。
沈殿したぼくの魂は、壊死していく。
花梨の花に寄す
その重さに
ぼくはたじろいだ
きみをかき抱いた
あの記憶が
まざまざと蘇ってくる
と
云うのだ
そのあまりの重さは
記憶の総量をかけて
ぼくを苛む
官能的な
優れて官能的な
うたかたの印象よ
花梨の花の
ただ一人の存在よ
ぼくは改めて
きみの膝下に跪こう
なんの躊躇いもなく

秘すれば花。
上花の精神世界にぼくは耽溺していく。
限りなく耽溺していく。
俳句の575という限られた言葉で、どこまでこの狂おしい心象風景が表現出来るというのだろうか。
きみよ・・・秘すれば花なのだ。
きみよ、ぼくの前では秘する事勿れ。


荒 野人