エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

緑立つ候

2012年04月28日 | ポエム
緑立つ候である。
そもそも、この緑立つは松の芽を言うのである。
若緑とも言う、春の代表的な季語である。

桜は散り、花筏を流し、やがて八重が咲き今は葉桜となった。

なんたる変遷の鮮やかさであるのか。
桜を、あくまでもしゃぶり尽くさんとする日本人の桜好きが、ぼくにも理解できるしDNAの中に連綿として流れているのである。



毎年「ギンナン」を拾う銀杏並木である。
拾いきれないギンナンは、自転車や人に踏みつぶされて異臭を放つ。

臭いは美味いのである。






       咲き急ぐ花の盛りの気ぜわしく         野 人






花の季節は、急くように過ぎ去ろうとする。そして若緑の候へと進んでいる。



サツキの花のスロープだけれど、主人は誰なのか?
と問いたくなる風情である。



良く良く目を凝らすと、ずっと下の目線に軽やかな花が色彩を主張する。
そう、密やかな、しめやかなな花たちがいる。
その花たちは、いじらしいほど愛おしい。



カラスノエンドウのピンクの花である。
良く見ると、肩を寄り添うように群れていることも多い花である。



ドウダンツツジの花である。




      
       満天星(どうだん)の花白々に眠りたる        野 人




ドウダンツツジの花は白い。
まるで白い妖精たちのようでもある。
そしてその形は、スズランのようでもある。

その咲き方は、殆どが若葉の下に隠れるように咲く。
思慮深げであって、奥床しいのである。



ドウダンツツジの若葉である。






       ハナミズキ幾層重ね咲きにけり         野 人




今、空を見上げるとハナミズキが彩っている。
淡く、時に鮮やかに、しかして鮮明に取り取りに咲いて目を楽しませてくれるのである。

若き緑が深まると、万緑となる、
白、という色が誰にも似合う季節が近づきつつあるのだ。





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      荒 野人