エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

塩釜・・・芭蕉の足跡

2013年06月29日 | ポエム
塩釜から松島までの道程は、さしたることも無かった筈である。
指呼の距離である。

ましてや、芭蕉翁は舟を雇ったと書いている。
塩釜の浦から、その距離約8キロである。
翁は「その間2里余」としている。

現在の観光船で、40分弱の乗船時間である。



現在の塩釜の港である。



震災前は、もっともっと賑やかであった。



カモメだけが、したり顔で羽を休めているのであった。

ところで、芭蕉は塩釜に一泊している。
夕暮れのころに塩釜の浦に着いている。



翁は、かなり旅情を感じたようである。
つまるところ、かなり疲弊していたのであろうと推測できる記述が続く。

旅情という面では、この塩釜の裏での感覚は「おくのほそみち」の中でも出色の出来である。
「人生の無常」を感じ「古歌の心が伝わってくる」漁師の声を聴き「夕暮れの鐘の音」に聞き入るのである。



しかも、投宿したその日である。
どこかから聞こえてくる「琵琶法師」の声を聴いている。
耳障りであるけれど、こうして古い芸能を守るのはたいしたものだと「感心」するのである。

翁は良翌朝早く、塩釜神社に参詣する。
華麗な社殿にいたく感銘を受けたのである。

そして、午後に近い頃・・・日の明るいうちに松島に着くべく塩釜を離れるのである。







「塩釜の浦から続く夏の海」







きっと、カモメの群れに追いかけられるようにして松島に向かったであろう。
旅情豊かな芭蕉の旅である。

同時にまた「おくのほそみち」は、壮大な旅枕であると、ぼくたちも追体験するのである。




         荒 野人