エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

万緑

2014年08月01日 | ポエム
万緑。
見事な把握力と観察無くしては生れない季語である。

今日は、とりわけ蒸し暑い。
加えて、台風12号が熱風を列島に送り込んでくる。
奄美地方は、大荒れだと云う。

こんな日は、万緑に抱かれてハンモックに身体を横たえるに限るではないか!
だがしかし、これから新宿に出掛けるつもりである。
その理由1・ニコン・カメラの内部のクリーニングを依頼する。
その理由2・新宿テアトルで映画「二つ目の窓」を観ること。



万に一つとて、微動だにしない緑の重なりである。
そうでなければ「万緑」とは形容しない。



新緑の頃と違うのは、緑を重ねていくと「漆黒の闇」を形成することである。
言い換えれば「黒々」とした緑となるのだ。

新緑は、いくら色を重ねても黒くはならない。
あくまでも緑なのだ。

万緑は、彼岸の岸ともなりうるし、結界のラインともなりうるのだ。
畏怖の対象となるのは万緑である。







「万緑や街の音すら吸い込める」







万緑は、緑を溜め込んで飽きることが無い。
そうであるから、万緑なのだ。



       荒 野人