最後の一鳴き。
この蝉は、幼児の背の高さにとまっていた。
少し手を伸ばせば、すぐ捕捉出来る距離でもある。
盛んだったころ、こんな低さで鳴いてはいなかった。
だがしかし、蝉時雨はこうした最後の一鳴きが醸すのだ。
そう思うと、無性に侘びしさが募る。
蝉の生涯に想いを馳せる。
朽ちる。
轢かれる。
哀しい最後である。
この子は、朽ちていっても幸せである。
草の褥が、用意されているから・・・。
「落蝉の大気の湿り身に纏い」
空蝉も哀しいけれど、亡骸はもっと哀しい。
昨日は、蝉の死に際だけ追いかけた。
時間の無情を身に沁みて感じたかった、からである。
荒 野人
この蝉は、幼児の背の高さにとまっていた。
少し手を伸ばせば、すぐ捕捉出来る距離でもある。
盛んだったころ、こんな低さで鳴いてはいなかった。
だがしかし、蝉時雨はこうした最後の一鳴きが醸すのだ。
そう思うと、無性に侘びしさが募る。
蝉の生涯に想いを馳せる。
朽ちる。
轢かれる。
哀しい最後である。
この子は、朽ちていっても幸せである。
草の褥が、用意されているから・・・。
「落蝉の大気の湿り身に纏い」
空蝉も哀しいけれど、亡骸はもっと哀しい。
昨日は、蝉の死に際だけ追いかけた。
時間の無情を身に沁みて感じたかった、からである。
荒 野人