エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蝉死す

2014年08月26日 | ポエム
最後の一鳴き。
この蝉は、幼児の背の高さにとまっていた。
少し手を伸ばせば、すぐ捕捉出来る距離でもある。



盛んだったころ、こんな低さで鳴いてはいなかった。
だがしかし、蝉時雨はこうした最後の一鳴きが醸すのだ。

そう思うと、無性に侘びしさが募る。



蝉の生涯に想いを馳せる。



朽ちる。



轢かれる。
哀しい最後である。



この子は、朽ちていっても幸せである。
草の褥が、用意されているから・・・。







「落蝉の大気の湿り身に纏い」







空蝉も哀しいけれど、亡骸はもっと哀しい。



昨日は、蝉の死に際だけ追いかけた。
時間の無情を身に沁みて感じたかった、からである。




       荒 野人