エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

空蝉

2014年08月09日 | ポエム
空蝉が目に付くようになってきた。
それに連れて、蝉時雨が耳に痛いほどになっている。



空蝉は、命の枯れる時一瞬の光芒を放つに違いないのだ。







「空蝉の声無く朽ちる土の上」







ベンチの背もたれにあった。
誰かが座っている時に、密やかに脱皮したのだろうか。



ベンチの直ぐ後ろに、穴が開いている。
この穴から世に出てくるのだ。

そして、短い青春を歌いあげる。



彼の空蝉は、どこに脱ぎ捨ててあるのだろうか?
この日、空にはもう秋の雲が広がっていた。



風が・・・。
秋の気配に染まりつつあるのだ。




      荒 野人