エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

久しぶりの空と雲

2015年01月29日 | ポエム
このところ、なぜか哀しく空を見上げるゆとりに欠けている。
昨日は、朝方まで降っていた氷雨が大気を冷やしていた。

けれど、おかげと云っては可笑しいけれど空はあくまで澄みきった。
雲が、より綺麗に見えるのであった。
もちろん、雲の蕪には「邪な」黒を帯びた雲もあったけれど・・・。



雲は遊弋しつつ、流れる。
時に千切れ、時に寄り添う。







「エチュードや一句捨て難く懐手」







雲は天才・・・言うまでもなく天才である。
石川啄木が、そう言い放ったときの心根は何だったのだろうか。
いまこそ知りたいと思う。

友人たちが自分よりもえらく見えた日。
啄木は、花を買って帰宅し妻と親しんだと詠んでいる。
その気持ちは、来し方行く末を考えて暗澹たる気分に横溢している。
読むほどに、哀しくなってくる。



雲がどこかに引っかかる、そんな気配に救いを持ちたい。
そのように啄木は詠んでいる。



ぼくの気分もそうなのだと思いたい。
啄木に天性のものと云えるほどの、才能。
それには遠く及ばないけれど、せめて気分だけでもそうありたい。



       荒 野人