ユリノキを見た日、ぼくは押し花絵も見てしまった。
単なる押し花を絵画風に貼り付けた作品では無く、意匠に満ちた一個の宇宙となっている。
ぼくは感服してしまったのである。
ユリノキ
衣装を着けよ
きみの豊かな肢体に
鮮やかな衣装を纏えよ
と
きみはそれに応えるかのように
白と黄で肢体を飾った
葉と葉の間から少しだけ花を見せてくれる
葉脈の縦横な走査線上に
きみは迷ってしまった
ユリノキは
そんなことにお構いなしにすっくと立ち上がり
葉を風に吹かせた
葉の間からは
照り返しを透過させた
ユリノキが作る木陰の中でぼくは瞑想しているのだ
ユリノキは大きく葉を伸ばしてぼくの瞑想をその葉脈で
絡め取ろうとする
ぼくは足掻くけれどユリノキから逃れることは出来ず
蜘蛛の糸の架かったてふてふのように悶えつつやがて息絶える
ユリノキに内包された恐るべき予知能力に畏怖し
身震いして途絶える快感にぼくは酔いしれてしまった
ユリノキは高潔な人格を以って空間に咲き続けた
クルクルと回って、時間の縦軸と横軸を混沌の彼岸に追いやっている。
ユリノキはそういう花である。
葉影に隠れることをもって良しとするかのように咲いている。
花の全体像を捕まえるのは苦労しなければならない。
ハンテンボク(和名:葉の形が「しるし半てん」の形をしていることから) 学名「レイリオデンドロ」はギリシャ語で「百合の樹」である。
モクレン科の木で、北アメリカ原産である。
花言葉は「見事な美しさ」「幸福」「 田園の幸福」である。
ユリノキは、夥(おびただ)しく苦悩を抱えてくれている。
現世に生きるぼくたちの煩悩を滅却してくれるのである。
だから、花言葉は幸福であり、美しさとなるのであろう。
そんなにも存在感を示す花には最近お目にかかった事がない。
嬉しいのである。
もしやもしや・・・押し花がぼくを過去に連れ戻したのだろうか。
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荒野人
単なる押し花を絵画風に貼り付けた作品では無く、意匠に満ちた一個の宇宙となっている。
ぼくは感服してしまったのである。
ユリノキ
衣装を着けよ
きみの豊かな肢体に
鮮やかな衣装を纏えよ
と
きみはそれに応えるかのように
白と黄で肢体を飾った
葉と葉の間から少しだけ花を見せてくれる
葉脈の縦横な走査線上に
きみは迷ってしまった
ユリノキは
そんなことにお構いなしにすっくと立ち上がり
葉を風に吹かせた
葉の間からは
照り返しを透過させた
ユリノキが作る木陰の中でぼくは瞑想しているのだ
ユリノキは大きく葉を伸ばしてぼくの瞑想をその葉脈で
絡め取ろうとする
ぼくは足掻くけれどユリノキから逃れることは出来ず
蜘蛛の糸の架かったてふてふのように悶えつつやがて息絶える
ユリノキに内包された恐るべき予知能力に畏怖し
身震いして途絶える快感にぼくは酔いしれてしまった
ユリノキは高潔な人格を以って空間に咲き続けた
クルクルと回って、時間の縦軸と横軸を混沌の彼岸に追いやっている。
ユリノキはそういう花である。
葉影に隠れることをもって良しとするかのように咲いている。
花の全体像を捕まえるのは苦労しなければならない。
ハンテンボク(和名:葉の形が「しるし半てん」の形をしていることから) 学名「レイリオデンドロ」はギリシャ語で「百合の樹」である。
モクレン科の木で、北アメリカ原産である。
花言葉は「見事な美しさ」「幸福」「 田園の幸福」である。
ユリノキは、夥(おびただ)しく苦悩を抱えてくれている。
現世に生きるぼくたちの煩悩を滅却してくれるのである。
だから、花言葉は幸福であり、美しさとなるのであろう。
そんなにも存在感を示す花には最近お目にかかった事がない。
嬉しいのである。
もしやもしや・・・押し花がぼくを過去に連れ戻したのだろうか。
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