写真は最近入院してきた椅子です。
こんな感じで、最近増えてきましたアンティーク家具の補修ですが、
「あるものを大事にしたい」「古いモノには得難い価値がある」といった思いをお持ちの方が訪ねてこられるので、
「数千円で直るの?」「新品のほうが安いじゃん」といったことはなく、
ある程度のご予算を考えてお越し頂いているので、大変ありがたく思います。
修理となると、歪みがあったり、部分の補修が必要であったり、場合によっては一度解体、再組立て
サンダーで削るとしても際の作業がやりづらかったりと、
修理ならではの工程が発生し、場合によっては新品を作るほうが作業しやすかったりすることもあるため、
修理費はそれほど安くないのが現状です。
では、そうしたアンティーク家具の決して安くない修理費ですが、
お客様側としては、どのように考えたらいいでしょうか、
例えばですが、このような価値、価格に分解してみたら少しはすっきりするのではないでしょうかというお話です。
1.廃棄料金
まず、最近はゴミの廃棄にもお金がかかるということは大きいですね。
もし家具を修理せずに廃棄すると、それだけでお金がかかるということです。
2.機能価値
これは引出箱であれば引出箱としての用途です。ここは別にアンティークであっても一般の安い家具でも同じですが、
少なくとも新しい家具を買おうとすると、最低でも発生する金額です。
3.アンティークの味わい価値
これは時間を経てきたモノだけが出せる価値です。日焼けした塗装、傷やへこみの味わい、
新品には決して出せない、ある意味お金を払っても作れない価値です。
最近はユーズドテイストというかアンティーク加工もある程度はできると思いますが、ホンモノにはかなわないと思います。
この味わいが好きな人にとっては大きな意味があります。
4.唯一無二のストーリー価値
ここはその方と家具の関係、思いの部分です。単純に申し上げますと、
お父さんが使っていた立派な机だとか、お母様が使っておられたミシン脚とか、子供が使っていたベビーチェアを孫にもといったことになると思います。
この価値は、すでに単純なモノという範疇を超えていて、唯一無二のモノであること、そこに重なるストーリーという意味で、
その本人にしかわからない部分です。
以上、
1と2は、市場で決まった価格がありますが、
3と4、とりわけ4については、その本人の思いが大きいところです。
つまり、
アンティーク家具の修理費の捉え方
( A )= 廃棄料金 + 機能価値 + 味わい価値 + 思い
となると思います。(単純に考えるとですが・・・)
そして、
( A ) < 修理料金 ならば、修理はしないでしょうし、
( A ) > 修理料金 であるならば依頼してみる価値はあるということになりますね。
思いを価格に直すのはそれはそれでまた難しい作業なのですが、ご参考までに(^_^;)
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