おそくら深夜にも大勢が判明するのだろう。自民と公明とで改選124議席の過半数63の確保が確実になった。しかし、自民と公明、維新による「憲法改正勢力」は改憲発議に必要な参院の3分の2(164)を維持する85議席は微妙な情勢だ。
安倍総理はテレビ朝日の選挙特番で、「改選議席の過半数を獲得できる見通しとなっているので勝利を得た。安定した政治基盤の上で国益を守る外交を進めていけという有権者からの判断をいただいたと思っている」と語っていた。
各地で「異変」が起きている。新潟選挙区(改選数1)で、野党統一候補で無所属新人の打越さく良氏が、3選を目指す自民現職の塚田一郎氏を破り、初当選を確実にした。塚田氏は国土交通省副大臣のとき下関北九州道路を安倍総理や麻生財務大臣のお膝元であることに引っ掛けて「忖度」発言したことで起きた国会での騒動の責任を取って辞任している。
れいわ新選組が比例選特定枠で出馬した重度障害者の舩後靖彦氏の初当選を確実にした。舩後氏は全身の筋肉が動かなくなる難病のALS・筋萎縮性側索硬化症だが、これまで会社経営に参画している。支援者が代読して、「なぜ私が立候補しようと思ったかというと、自分と同じ苦しみを障害者の仲間に味わわせたくないと考えたからだ。ボクという人間を見て、必要な支援とは何かを今一度、考え直してもらえる制度をつくっていきたい」と述べていた。感動的だった。寝たきりになっても声を国会に届けるということを国内だけでなく海外にも知らしめた。その存在感をぜひ国会で示してほしい。
初陣はならず。静岡選挙区(改選数2)で現職2人に挑んだ、徳川宗家19代目で立憲民主の新人、徳川家広氏は敗戦だった。
結果として、「安倍1強」の政治基盤は崩れずに維持する。自民の単独過半数の維持は厳しいが、連立を組む公明への配慮をしながら今後も政権を持続するだろう。衆院解散という選択肢をフリーハンドで握りながら、今後も政権運営に当たる。それにしても、参院選での野党の存在感はなかった。「立憲は22議席」との議席予想の読みもあったが、れいわ新選組の方が勢いがある。その風向きを読んでか、選挙特番で各社は安倍氏の次にインタビューしたのはれいわの山本太郎氏だった。
今後野党の再編が本格化する。それが次なる政局へと展開する。今回の参院選が政治の大きな節目ではないだろうか。政局の地鳴りが聞こえ始めたような気がする。(※写真:21日午後21時15分、金沢市営中央市民体育館で開票作業が始まった)
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