自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆日本海のスルメイカ漁 今そこにある外交問題

2020年11月24日 | ⇒ニュース走査

   中国の王毅外相がきょう24日に来日、茂木外務大臣と会談を行うほか、あす25日は菅総理大臣と会談すると報じられている。だったら、ぜひこの問題を取り上げてほしい。中国漁船が大挙して日本海の能登半島の沖にある日本のEEZ(排他的経済水域)の大和堆に入り込んで違法な乱獲を繰り返している。このため、日本海に生息するスルメイカの資源量が急減しているのだ。

   問題は、日本海に独自のEEZを持たない中国漁船は漁ができないが、北朝鮮から漁業権を買って同国のEEZで操業していると称して、日本のEEZで密漁しているのだ(11月24日付・時事通信Web版)。 水産庁が9月末までに退去警告をした船の数は延べ2586隻に上っている。去年までは北朝鮮の漁船による違法操業(2019年の警告数4007隻)が圧倒的に多かったが、今年は中国漁船の違法操業が去年より倍増している。

   中国は北朝鮮海域での制裁決議違反が問題視されているにも関わらず、北朝鮮の漁業海域での漁業権を購入し、中国の遠洋漁船全体の3分の1にも相当すると見られる大量の船団を送り込んで漁業資源を漁っている。北朝鮮の漁業海域で漁業資源をほぼ取り尽くし、次に狙ってきたのが日本海のEEZだろうか。

   以下は憶測だが、中国の狙いはもう一つある。地元紙は中国漁船の違法操業について、「EEZ内に中国の公船が現れているとの情報もある」と伝えている(10月6日付・北國新聞)。漁船の違法操業に紛れて、公船が海底調査を行っている。これは「大和堆の中国所有論」の布石ではないだろうか。中国は今年8月に東シナ海の海底地形50ヵ所について命名リストを公表した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域のほか、沖縄本島沖の日本のEEZも含まれる。その前、4月には南シナ海でも海底地形55ヵ所や島嶼(とうしょ)や暗礁25ヵ所について命名リストを公表している。

   中国は北朝鮮と共同戦線を組んで、関連海域と海底に主権と管理権があると主張することで、大和堆周辺の海洋管理を主張する。そして、公船を繰り出し、日本の漁船を追い払うつもりだろう。尖閣で行われているパターンである。このことを中国の王毅外相に直接問うべきだ。スルメイカ漁問題こそ、今そこにある日本の外交の危機ではないだろうか。

⇒24日(火)午後・金沢の天気     はれ   

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