自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆バイデン大統領「My whole soul 」演説の響き

2021年01月22日 | ⇒トレンド探査

   果たしてアメリカは変わるのか。ジョー・バイデン大統領の就任演説がホワイトハウスの公式ホームページ(1月21日付)で全文掲載されている=写真=。演説の中味をチェックすると、率直な感想はやはり78歳の、アメリカ史上最高齢の大統領の、超ベテラン政治家の、ある意味でアンテークな演説なのだ。そう感じたのは以下の箇所だ。

「In another January in Washington, on New Year’s Day 1863, Abraham Lincoln signed the Emancipation Proclamation.When he put pen to paper, the President said, “If my name ever goes down into history it will be for this act and my whole soul is in it.”

My whole soul is in it. Today, on this January day, my whole soul is in this: Bringing America together. Uniting our people. And uniting our nation. I ask every American to join me in this cause. Uniting to fight the common foes we face: Anger, resentment, hatred. Extremism, lawlessness, violence. Disease, joblessness, opelessness.」

以下意訳:別の1月、1863年の元日にエイブラハム・リンカーンは奴隷解放宣言に署名した。紙にペンを走らせた時、大統領はこう言った。「もし私の名が歴史に残るようなことがあれば、これがその理由になる。私は全身全霊をこれに注ぎ込んだ」と。

今日のこの1月の日に、私も全身全霊を込めている。アメリカをひとつにまとめるため。国民の連帯、国の連帯を実現するため。この大義のため、すべてのアメリカ人に協力を呼びかける。怒り、不満、憎悪、過激主義、無法状態、暴力、病気、失業、そして希望の喪失――。こうした敵に立ち向かうため、みんなで連帯してほしい」

   リンカーン大統領の事例の引用もさることながら、「My whole soul 」という言葉にアンテークさを感じる。日本語で「全身全霊」という言葉となるが、古めかしさを感じるのは自身だけだろうか。そして、見逃しているのかもしれないが、演説にはデジタル(digital)という言葉が出てこないのだ。

   大統領選でのトランプ氏との壮絶な闘いの後だけにアメリカ国民に連帯を訴えたのだろう。ただ、アメリカの分断を生み出している一つの要因としてSNSといったデジタル社会の有り様を認識しているのであれば、アメリカの世代間の融和やデジタル社会における国家の存在意義というものを強調すべきなのではないだろうか。「My whole soul」はアメリカ国民の心にどれだけ響いたのだろうか。

⇒22日(金)朝・金沢の天気     あめ 

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