きのう9日、ロシアのプーチン大統領は赤の広場で開催した、第二次世界大戦での対ドイツ戦勝記念日の式典で演説を行った=写真、9日付・BBCニュースWeb版=。10分間ほどの演説。サイトで見る限りだが、プーチン氏の顔は腫れていて、病的な表情だと感じた。演説内容の日本語訳が新聞・テレビメディア各社のニュースサイトで掲載されている。読んで浮かんだのは「時代錯誤」という言葉だった。
ウクライナ侵攻は自分たちを守るための行動だったと正当化している点が気になった。「われわれの責務は、ナチズムを倒し、世界規模の戦争の恐怖が繰り返されないよう、油断せず、あらゆる努力をするよう言い残した人たちの記憶を、大切にすることだ。だからこそ、国際関係におけるあらゆる立場の違いにもかかわらず、ロシアは常に、平等かつ不可分の安全保障体制、すなわち国際社会全体にとって必要不可欠な体制を構築するよう呼びかけてきた」(9日付・NHKニュースWeb版)
世界を敵に回すような表現だが、これは事実だろうか。「去年12月、われわれは安全保障条約の締結を提案した。ロシアは西側諸国に対し、誠実な対話を行い、賢明な妥協策を模索し、互いの国益を考慮するよう促した。しかし、すべてはムダだった。NATO加盟国は、われわれの話を聞く耳を持たなかった」(同)
史実をひっくり返すような主張も理解できない。「欧米は、この千年来の価値観を捨て去ろうとしているようだ。この道徳的な劣化が、第2次世界大戦の歴史を冷笑的に改ざんし、ロシア嫌悪症をあおり、売国奴を美化し、犠牲者の記憶をあざ笑い、勝利を苦労して勝ち取った人々の勇気を消し去るもととなっている」(同)
冒頭の「時代錯誤」と感じる点は、ウクライナのゼレンスキー政権をネオナチ政権と呼び、その侵攻を「祖国の未来のため、ナチスを復活させないための戦い」と強調している点だ。相手をナチス呼ばわりすれば、武力侵攻などすべてのことが正当化されるとの主張だ。そして、自ら始めた戦争を人ごとのように語る理不尽さ、これが時代錯誤なのだ。実に無益な行為だ。
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