「弁当忘れても傘忘れるな」。地域ならではの教えというものがある。金沢は年間を通して雨の日が多く、年間の降水日数は170日余りと全国でもトップクラス(総務省「統計でみる都道府県のすがた」) 。天気も変わりやすく、朝晴れていても、午後には雨やくもり、ときには雷雨もある。そのような気象の特徴から冒頭のような言葉が金沢で生まれたのだろう。ただ、最近思うのは「弁当忘れてもマスク忘れるな」だ。
きのう出勤する途中でマスクを忘れたのに気が付き、コンビニに立ち寄ったが売り切れだった。大学に到着して、生協売店で買いを求めた。バラ売りで1枚74円。それから職場に行く。エレベーターに乗るとすでに3人いた。おそらくマスクを着けていなかったら気が引けて乗らなかっただろう。マスクは通行手形のようなもので、「場」に入るには今や必須となっている。弁当を忘れても、誰も何も言わないが、マスクを着けていないとジロリとした視線を感じる。さらに咳やくしゃみをしようものなら、多様な角度から目線が集中するのだ。
マスクの常識は新型コロナウイルスによって大きく変わった。これまでマスクは使い捨てが常識だった。それが、洗濯して再利用が当たり前になった。また、マスクは白色が当たり前と思っていたが、最近では黒色もあればピンクもあり、白地に花柄模様と実に多様である。先日も夜の街ですれ違った男性が「首なし」で一瞬ドキリとした。黒色マスクに黒の帽子を深く被っていたのでそう見えたのだ。
先日もこのブログで取り上げたWHOの公式ホームページには「When and how to use masks」と題してマスクの使い方を紹介している。これを見ていて感じることは日本人のマスク観と海外のマスク観が違っていることだ。この中で「やってはいけないこと」として、マスクを他人とシェアする、破れたマスクを使う、マスクで鼻を出す、汚れたマスクを着用する、などイラスト入れりで説明している=写真=。衛生観念の違いと言えばそうなのかもしれないが、日本人がこのイラストを見れば、マスクが普及していない国や地域ではマスクの使い方をめぐって混乱しているのではないかと想像する。
というのも、WHOが掲載しているマスク着用に関するイラストや文書は、世界の国民に向けて発しているのではなく、「on Advice to decision makers」(意思決定者へのアドバイス)として発信しているのだ。「マスク途上国」は世界で多くあり、そのマスクの使い方を初歩から指導者に教えている、そんなふうにも読める。ここはWHOに期待したいところだ。
⇒23日(火)朝・金沢の天気 はれ
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