さきほどまでNHK-BSでアメリカのトランプ大統領の施政方針演説を生放送で視聴していた。冒頭で「America is back(アメリカは復活した)」と宣言し、2期目の大統領就任から43日間までの成果を強調していた。チカラを込めて語っていたのが、やはり「アメリカ第一主義」だった。「この数週間で1兆7000億㌦もの新たな投資がアメリカにもたらされた」と述べ、「ソフトバンク」など社名をあげて、オープンAIなどに巨額の投資がなされるなどと説明した。
さらに「近い将来、この24年間、誰も成し遂げられなかったことをしたい。連邦予算をバランスさせることだ」と述べ、巨額な財政赤字の解消に意欲を示した。その中でトランプ氏は、イーロン・マスク氏が率いる政府支出の削減策を検討する組織「DOGE(政府効率化省)」がムダな政府支出について18の事業を確認したと指摘した。「(ムダな財政支出が)世にさらされ、迅速に停止されている。われわれは数千億㌦を発見し、インフレなどとたたかうために金を取り戻し、借金を減らす。これは始まりに過ぎない」と述べた。
前任のバイデン氏を「アメリカ史上最悪の大統領」と名指しながら指摘した事柄の一つが、犯罪歴のある不法移民を強制送還させなかったことだっと述べた。議会の傍聴席にいる、不応移民者に娘が殺害された母親と姉妹を紹介しながら「悲劇を繰り返してはならない」と話し、その上で「わが国への侵略を撃退するためにアメリカ軍と国境警備隊を配備した。その結果、先月の違法な国境越えは、これまでで最も低い水準だった」と語った。政策をアピールするなかなか凝った演出だった。
意外なことも語られた。つい先日、ウクライナのゼレンスキー大統領と口論となりホワイトハウスでの首脳会談は決裂、そしてアメリカはウクライナへの軍事支援を一時停止とした。これについてトランプ氏は施政方針演説のこの日、ゼレンスキー氏から手紙を受け取ったことを明らかにした。 手紙には「恒久的な平和に近づくためにできるだけ早く交渉の場に着く用意がある」「平和を手に入れるためにトランプ大統領の強い指導力の下で協力する用意がある」と書かれてあったと述べた。さらに、首脳会談の後で署名する予定だった鉱物資源の共同開発をめぐる協定については「いつでも署名する用意がある」と表明があったと語った。
ゼレンスキー氏からの手紙に対し、トランプ氏は「彼がこの手紙を送ってくれたことに感謝する」と述べた。さらりとした語り口調だったが、この一件ではトランプ氏の外交姿勢も問われていただけに、本人も次なる道が拓けたのではないだろうか。
施政方針演説が終わったのは日本時間で午後1時少し前。およそ1時間40分におよんだ。傍聴席にいる関係者や政策担当者を何人を次々と紹介しながら演説の内容にリアル感を持たせるという、とても凝ったストーリーになっていた。
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