自在コラム

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★「ワクチン接種」予約は必要なのか

2021年05月17日 | ⇒トレンド探査

   きょうから東京と大阪で行われる新型コロナウイルのスワクチン接種の予約受付が始まる。このブログで何度か「ワクチン敗戦国」と称してきた行政の対応の矛盾などが一気に噴き出すのではないかと懸念している。たとえば、一番の混乱は、予約は防衛省のホームページや通信アプリ「LINE」などインターネットでのみの受付となっていて、電話は受け付けないということだ。

   ネットやスマモを使わないシニアは多数いる。これは全国統計だが、総務省「情報通信白書(令和2年版)」によると、70代(70-79歳)のSNS利用者は41%だ。さらに、「NTTドコモ」モバイル社会研究所のSNS利用動向についての調査リポート(2020年6月29日付)によると、スマホを所持する70代の46%がLINEを利用している。この割合でいくと、LINEを使っている70代は19%、つまり5人に1人ということになる。東京23区では午前11時から予約を開始しているが、「なぜ電話で受け付けないのか」と各役所には苦情が殺到しているだろう。

   さらに、金沢市でも見られた事例だが、二重予約の原因にもなる。ネットやスマホを使わないお年寄りは知人や家族ら複数の人に予約の代行を依頼している。実際に知り合いの80歳代のお年寄りは3人に依頼し、うち2人が登録を済ませていた。接種センターでは、自治体とシステムがつながっていないため、二重の予約を防ぐ手立てはない。

   そもそも予約は必要だろうか。むしろ、ワクチンの接種率をどうすれば高めることができるかが肝心な点ではないか。これを選挙の投票率を高める発想と考えるといろいろアイデアが浮かぶ。つまり、「接種権」と「投票権」を同列に考えて、選挙管理委員会と連携を取る。住民登録をベースにした「接種人名簿」を作成し、「接種はがき」を事前に送付する。接種日と会場を地区ごとに分散させて、小中学校や公共施設で接種会場で来訪順に接種する。1回目が済んだときに2回目の接種はがきを渡す。アナフィラキシーショックを想定して、15分後をめどに会場を退出する。医師1人1時間あたり20回接種(厚労省基準)といわれているので、地区ごとの接種人の人口を換算して医療関係者を配置する。 

   政府は高齢者への接種を7月末までに終えたいとの方針のようだが、変異株では年代は関係なく感染が拡大する傾向にある。接種日と会場を地区ごとに分散させる方式ならば、接種年齢を現在の65歳以上から20歳以上に拡大してもよい。さらに、緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」の対象地域を優先的に接種した方が効率的ではないだろうか。

   2月に始まった日本のワクチン接種は2%と先進国の中で最も低い(5月14日付・Bloomberg-Web版日本語)。接種率が上がらなければ、「ワクチン敗戦国」として、世界からオリンピック参加すら忌避されるだろう。

⇒17日(月)午前・金沢の天気    あめ


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