きのう輪島市朝市通りの被災地をめぐった帰りに、同市と隣接する志賀町富来(とぎ)地区に立ち寄った。同地区には元日に震度7の揺れを観測した地点がある。気象庁や国土地理院の分析によれば、能登半島西端から新潟・佐渡島近くの日本海まで長さ130-150㌔に達する断層が破壊されたとみられている。その半島西端の部分が富来地区にあたる。訪れたのはことし1月31日以来だった。
富来地区で気にかかっていたことがあったからだ。コウノトリの営巣がことしも行われているだろうか。同地区は国の特別天然記念物のコウノトリの営巣地としては日本で最北に位置する。1月31日に訪れたときはまだ南方から飛来していなかった。地震の揺れでも電柱の上につくられた巣は無事で、電柱は傾いてもおらず、巣も崩れてはいないようだった。ただ、巣がかなり小さくなっていて、見た目で2分に1ほどだった。巣の下を見ると、営巣で使われていたであろう木の枝がかなり落ちていた。住宅に例えれば、「半壊」状態だろうか。
それ以来気にかかっていたというのも、鳥類の専門家でもないので憶測にすぎないが、ことしもコウノトリのつがいが営巣に春ごろやって来て、巣が小さくなっているを見て、別の場所に行こうとするのか、あるいは枝を足すなど修復してこの地で営巣を続けるのか。どうなんだろう、ということだった。
きのう夕方5時少し前に現地に着いた。見上げると、いたいた。写真も数枚撮った。もう少し近場で撮ろうと近づくと今度は見えなくなった。下からの撮影なので、コウノトリが立っていれば撮影は可能だが、見えなくなったということは巣に座り込んだのだろう。どこか飛び立った様子もない。しばらく様子を見ていたが、立ち上がる様子もないので、「もう寝たか」と勝手に思い現場を離れた。
巣は1月に見たときより大きくなっていた。ということは、枝を加えた補修したのだろう。写真を見ると、親鳥のほかにひな鳥が1羽がいて、合わせて3羽が見えた=写真、6日午後4時59分撮影=。コウノトリは今季で3年連続での営巣だ。ひな鳥はかなり成長している。去年5月23日に訪れたときは、3羽のヒナがいた。ヒナを育てているつがいは足環のナンバーから、兵庫県豊岡市で生まれたオスと福井県越前市生まれのメスで、一昨年と同じペアだった。おそらくことしも同じペアではないだろうか。
とすれば、元日の地震では能登にいなかったものの、去年5月5日の震度6強を経験し、先日6月3日の5強も耐え忍んだことだろう。そう考えると、妙な同情心というものもわいてきて、エサ場は土砂崩れになっていないか、電柱の上は揺れが大きく、今度また大きな揺れがあるとひな鳥が落下しないかなどと心配したりする。台湾など南方との「二地域居住」ではあるものの、すっかり能登のコウノトリ。能登の住人のように思いやってしまう。
⇒7日(金)午後・金沢の天気 はれ時々くもり
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