ネットで「NHK国際ニュースナビ」をチェックしていると、今月13日付で「テニスのウィンブルドン選手権にAI解説者登場 その実力は」の見出しで、2時間半におよぶ試合を終了直後に、AIが3分ほどのハイライト動画に自動で編集、そして解説をつけて公式サイトやアプリで配信する仕組みを紹介している。
実際にユーチューブで上がっている、ウィンブルドン選手権準決勝のカルロス・アルカラス(スペイン)対ダニール・メドベデフ(ロシア)のハイライト動画(5分18秒)を視聴すると、AIの解説コメントは冷静で言葉もそれほど多くなく、違和感はない。NHK国際ニュースナビによると、開発したのはIT大手のIBM。同社はウィンブルドン選手権の公式ウェブサイトやアプリを制作するなど、デジタル技術でウィンブルドンを長年支えてきた。今回もAI解説の実現に向けてAIにさまざまな情報を学習させるなど工夫を重ねてきたようだ。
このニュースを見てふと思った。日本でも、たとえば大相撲の実況解説はAIでできるのではないかと。勝ち技や力士のデータなどを学習させることによって、それは可能ではないか。そうなると、実況アナウンサーの職をAIが奪うことになるのではないか。
AIに職を奪われることを危惧する動きはすでに世界的に起きている。BBCニュースWeb版日本語(15日付)によると、ハリウッドでは5月から、脚本家労組「アメリカ脚本家組合(WGA)」によるストが続いている。脚本家たちは賃金や労働条件の改善を求めているほか、AIの進歩で仕事が減らないよう保護する体制が不十分だと訴えている。今月14日からは、俳優労組「映画俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)」によるストも始まった。アカデミー賞受賞俳優スーザン・サランドンさんは、「(AIは業界の)すべての人に影響を与える」と訴えている。
俳優と脚本家のストが同時に行われるのは1960年以来63年ぶりという。なぜ、アメリカのコンテンツクリエーターたちがAIに対応するため、ストという手段で向き合っているのか。IBMなどの巨大民間企業やデジタルプラットフォームが進めるAIによって、雇用が失われ、格差が広がることへの懸念を感じ取っているのかもしれない。
技術のめざましい進歩はすべての人に恩恵を与えるとは限らない。かつて、産業革命期のイギリスでは「ラッダイト運動」があった。いわゆる、機械の打ち壊し運動だ。アメリカの俳優と脚本家のストは「21世紀のラッダイト運動」の始まりなのかもしれない。
⇒15日(土)夜・金沢の天気 くもり
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