きょう能登の輪島市門前町にある総持寺祖院を訪ねた。2021年に開創700年を迎えた曹洞宗の寺で、禅の修行寺で末寺は1万6千余を数える。1898年、明治の大火で七堂伽藍の大部分を焼失した。これを契機に1910年、布教伝道の中心は横浜市鶴見に移る。能登の総持寺は「祖院」と改称され別院扱いとなった。その後の再建で山門や仏殿などがよみがえり、周囲の山水古木と調和して大本山の面影をしのばせる(総持寺パンフ)。2007年3月の能登半島地震でも大きな被害を受け、開創700年の2021年4月には修復工事が完了し落慶法要が営まれている。
この寺で修行するドイツ人僧侶、ゲッペルト・昭元氏と久しぶりに面談した。ドイツのライプツィヒ大学で日本語を学んでいて禅宗に興味を持ち、2011年に修行に入った。「与えられたものを素直にいただく、能登での人生の学びも13年になります」と。曹洞宗のきびしい修行を耐え抜いた言葉の一つ一つが重く、そして心に透き通る。最後に、ドイツに戻っての布教は考えているのかと質問すると、「結婚し、子どもにも恵まれた。能登でさらに修行を積みたい」との返事だった。
境内を歩くと、祖院最古の建物である白山殿前に六色仏旗にちなんだ青、黄、赤、白、紫などのビニール傘が飾られていた。寺の境内とは思えない遊び心のある光景だ。チラシによると、「sorahana」と呼ばれるイベント。全部で45本。天気が良ければ地面に写る影の色も楽しめただろうが、残念ながらこの日は曇りで、その光景は見ることができなかった。
イベントのチラシによると、地域の人たちでつくる「禅の里づくり推進協議会」による行事で、4月からことし10月1日まで開催されている。ただし、台風などが来る場合はイベントは中止となるようだ。古刹に輝く傘の空、アンブレラスカイだ。
1泊2日の短い旅程での能登散策。目にした能登の新たな光景をいくつか紹介する。
⇒6日(木)夜・輪島の天気 くもり時々あめ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます