竹を割るときは、ナタで最初の一節を勢いよく割ると、後は一気に割れていく。これを「破竹の勢い」と言う。甲子園球場で行われている夏の甲子園(第101回全国高校野球選手権大会)準々決勝、金沢市の星稜高校はきのう18日、4本のホームランと22安打で仙台育英を17対1で下し、20日の準決勝にコマを進めた。前日17日の三回戦では智弁和歌山に延長14回でサヨナラ勝ちをしていて、まさに破竹の勢いでの連勝だ。
これまでの星稜は敗れて伝説を残してきた。40年前、1979年の第61回大会の三回戦で延長18回の死闘を箕島(和歌山)と演じ、敗れた。箕島はこの年の春のセンバツ大会で優勝していて、まさに春夏連覇がかかっていた。その箕島を最も苦しめた存在としての星稜だった。もう一つ、負けて名を上げた試合が1992年の第74回大会の二回戦の明徳義塾(高知)戦。星稜の4番・松井秀喜選手に対しては5打席連続の敬遠だった。松井選手は春夏含め4回甲子園出場で、高校時代の公式試合でホームラン60本を放っていた「怪物」だった。朝日放送の実況アナウンサーが「勝負はしません」と声を張り上げた。連続5敬遠が彼の名を一躍全国区に押し上げた。
このとき、私は金沢のテレビ局で報道デスクをしていて、高校野球において勝利至上主義でよいのかとのテーマで特集を何度か組んだ。松井選手が逆境に強いとの印象を持ったのもこのころだった。父親の昌雄氏に何度か取材した。息子にこう言い聞かせて育てたそうだ。「努力できることが才能だ」と。無理するなコツコツ努力せよ、才能があるからこそ努力ができるんだ、と。松井選手がプロ入りしてから、ホームランの数より、むしろ連続出場記録にこだわったのも、プロとは本来、出場記録なのだと見抜いていたからなのだろう。
それにしても高校野球は何かと話題を提供してくれる。夏の高校野球の岩手大会決勝で、県立大船渡の163㌔の右腕投手が肘の違和感を訴えていたので、監督が登板を回避した。球場では怒りのヤジが飛び交い、学校にまで抗議電話が殺到した。安全確保か勝負をさせるか、その是非が議論が今でもくすぶっている。話が横にそれた。星稜がベスト4に入ったのは1995年の第77回大会で、24年ぶりだ。20日は中京学院大中京(岐阜)との戦い。星稜には新たなレジェンドをつくってほしいと願う。(※写真は、星稜のベスト4入りを報じる19日付の朝刊各紙)
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