仮設住宅が各地で造られている。被害が大きかった輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、羽咋市、志賀町、そして液状化現象に見舞われた内灘町の7市町であわせて4600戸におよぶ。
今月4日に輪島市の千枚田の被災状況を見に行くため国道249号を車で走っていると、目的地の手前付近で巨大な白いキノコのようなものが見えてきた=写真・上=。周囲には人の気配はなかった。おそらく災害支援ボランティアの宿泊施設で、作業のため出払っているのかもしれない、と勝手に想像した。後でネットで調べると、仮設住宅だった。「インスタントハウス」との名称で、名古屋工業大学の教授が考案した製品。防炎シートを空気で膨らませ、1棟あたり2時間で完成するという。
直径およそ5㍍、高さ4㍍ほどのいわゆる簡易住宅。中の広さは15平方㍍(4.5坪ほど)ほどで、5人から8人がカーペットを敷いて寝転がったりできるスペースになっている。中は断熱材が施してあり、寒さはしのげるようだ。住宅の中を見学できなかったが、それにしてもカタチが面白い。
志賀町富来地区で設置されている仮設住宅は「トレーラーハウス」と呼ばれ、リゾート地の別荘のような外観が特徴=写真・中=。近くにはスーパ-マーケットや薬局などもあり、とても便利な場所だ。ネットで調べると、トレーラーハウスの高さは4㍍、幅11㍍、奥行き3.4㍍の1LDK。洋室やキッチン、浴室、トイレを備え、1戸当たり4人から6人が生活できるという。家賃は無料だが、電気・上下水道料金などは各自負担となる(志賀町役場公式サイト)。入居申請は227戸分あり、町役場としては全員が入居できるよう施工主の県庁と調整している。
そして、完成したらぜひ見てみたい仮設住宅がある。このブログ(2月18日付)で取り上げた、世界的な建築家で知られる坂茂(ばん・しげる)氏の設計した仮設住宅。珠洲市で着工している木造2階建てで、6棟で計90戸が建つ。小さな棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を使用する。DLT材を積み上げ、箱形のユニットを形成し、これを組み合わせて6、9、12坪の住戸をつくる。内装は加工せずに木のぬくもりを生かすという。その設計構造をこの目で見てみたい。(※写真・下は、坂茂建築設計公式サイト「令和6年能登半島地震 被災地支援プロジェクト」より)
これらのユニークな仮設住宅に入居できる条件は、住宅が全壊あるいは半壊以上でやむを得ず住宅を解体する人などに限られる。仮設住宅に入居してもホッとするのは束の間かもしれない。損壊した住宅の撤去と再構築、今後の人生や家族設計などさまざま難題に取り組むことになるのだろう。
⇒7日(木)午前・金沢の天気 くもり
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