先日、夏恒例の庭木の刈り込み(剪定)をいつもの造園業者にお願いした。若手の庭師4人が2日がかりで作業をしてくれた。すると不思議なもので、庭だけでなく、お願いしたこちらも心がすっきりとするのだ。
庭木は自然に任せると、3、4ヵ月で枝が込み入り、葉が繁り放題になる。庭木として形状を保つためには、刈り込みが欠かせない。剪定によって樹木の内側まで光があたるようになるため、樹木が丈夫に育つともいわれる。また、特定の庭木だけではなく、全体の刈り込みで庭の調和をはかる。2日間はどうしても必要な作業日程なのだ。
たとえば、生垣。刈り込むことにより芽を詰まらせて、街路からの目隠しとしての役割を果たす。庭木は、形状を整え、樹木が有する本来の美しさを保つ。もう一つの剪定の効果は、刈り込みで病害虫を防ぐことである。日当たりや風通しを良くすることで、害虫をつきにくくするのだ。というのも、庭木への害虫には、葉を食う毛虫類や、幹に穴をあける害虫などがあり、多くは葉の裏に潜んでいたりする。こうした刈り込み作業を毎年夏のお盆前ごころに依頼している。
ある造園業者の方と話していたら、面白い話を聞いた。「金沢では、庭木をいじめ限界にまで刈り込む昔からの伝統がある」というのだ。そんなに強く刈り込むと、へたをすると枯れるのではないか」と尋ねると、「むしろ、きれいな花を咲かせる」という。それを、金沢では「透かし」と言って、枝が重なり合っている部分の、不要な枝をとことん切り落として透かし、内部まで風が通るようにする。これは、上記の害虫対策だけでなく、べったりと重い金沢の積雪から庭木の枝を守るための知恵なのだという。
ただ枝葉を剪定するのではなく、庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うということに金沢の庭職人の心得や技というものを感じる。「金沢の強刈り込み」「金沢のいじめ剪定」という言い方をする人もいるが、悪い意味はなく、庭木本来の美しい形状を保つための金沢ならでは剪定技巧なのである。積雪から枝を守る「雪吊り」と合わせて考えるると庭木に対する人の奥深い思い入れを感じる。
⇒8日(土)朝・金沢の天気 はれ
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