自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「人呼んで変異株オリンピック」

2021年06月25日 | ⇒メディア時評

   金沢の観光名所の一つにもなっている「忍者寺」で有名な妙立寺の前を久しぶりに通った。コロナ禍でしばらく拝観を中止していたが、今月21日から予約のみで再開していると貼り紙があった。寺に何度か拝観に入ったことがあるが、ガイド嬢の説明が面白かった。寺の井戸が金沢城に続く抜け道になっているとか、掛け軸の裏にある隠し扉、床板を外すと現れる隠し階段など凝った仕掛け。ただ、妙立寺では「忍者寺」とは名乗っていない、「人呼んで忍者寺」と案内看板=写真=を出している。寺名より「忍者寺」が有名なので、寺としては苦肉の策として「人呼んで」と表現するしかないのだろう。

  •    自分でそう名乗っているわけではないが、 他の人はそう呼ぶ。このような事例は多くある。おそらくこの選挙は、「人呼んでコロナ選挙」だろう。任期満了に伴う東京都議選(定数127)がきょう告示され、7月4日の投開票日まで9日間の選挙戦が本格的にスタートした。立候補者数は271人に上り、平成以降最多。うち女性候補は過去最多の76人となった。秋までに実施される衆院選を見据え、各候補や各党幹部らは初日から街頭などで支持拡大を訴えた(6月25日付・共同通信Web版)。

   ワクチン接種も十分ではないのに、コロナ禍で選挙という「人流」をつくる東京都議選の意義はなんだろうかと都民は冷ややかに思っているのではないか。大阪市が昨年11月1日に「大阪都構想」の是非をめぐる住民投票を実施した。すると、大阪市民からは、「コロナ禍にも関わらず、なぜ住民投票を実施するのか。都構想のメリット・デメリットはなにか」(大阪市公式ホームページ「市民の声」)などと住民投票そのものに疑念の声が上がっていた。もちろん、「コロナ感染をもって、民主主義に踏み込んでよいものか、投票とコロナは別だ」との意見もあるだろう。

   今月19日に来日したウガンダの東京オリンピック選手団の9人のうち1人が新型コロナウイルスに感染していることが空港で確認されたほか、滞在先の大阪で行われた保健所の調査で、空港では陰性とされた8人が濃厚接触者と認定され、その後、1人の感染が確認された(6月25日付・NHKニュースWeb版)。

   ウガンダ選手は、インド型の変異ウイルス=デルタ株だったこともが判明している。従来のウイルスの2倍の感染力を持つとされる。ウガンダ選手団の感染者はレアケースなのだろうか。そうではない。今後続々と世界各国から選手団が入国するたびに同じケースが頻発するのではないだろう。世界中から変異株が持ち込まれ、まさに「人呼んで変異株オリンピック」が始まるのか。

⇒25日(金)夜・金沢の天気       はれ    


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