先日、近所の電気屋の社長とソーラー発電の話をしていて、意外なことを聞いた。ことし7月に九州など各地での豪雨が発生し、川沿いの平野部に設置されていた太陽光発電設備が冠水や浸水、水没して損壊したり、流されるというケースが相次いで起きたようだ。
ネットで調べると詳しいサイトがあった。太陽光発電の専門メディア「PV eye WEB」(8月1日付)によると、鹿児島県志布志市にあるメガソーラーでは、崖の上から構内に大量の土砂がなだれ込み、約100枚のパネルが破損した。熊本県球磨郡錦町にある太陽光発電所は、付近を流れる球磨川が氾濫したために水没。鹿児島県鹿屋市のメガソーラーも太陽光パネルの下に備えつけられていたPCS(パワーコンディショナ)まで水に浸かった。被害は地上設置型の太陽光発電設備だけでなく、住宅用太陽光発電設備も多数被災した。
水害にあったこうした太陽光パネルは絶縁不良となっていて、接触すると感電する恐れがあるというのだ。特に複数枚の太陽光パネルが接続されたまま飛ばされたり、流されたりしている場合、日射を受けて発電し、高い電圧・電流が発生するケースがあるようだ。
経産省公式ホームページに、流された太陽光パネルの対応について説明している。水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナ内部に水分が残っていることも考えられ、触ると感電するおそれがあり、ゴム手袋やゴム長靴着用等の感電対策を行うよう呼び掛けている。また、50kW未満の太陽電池発電設備の場合は販売施工業者が、50kW以上の設備の場合は選任されている電気主任技術者に連絡し、作業を行うよう設置業者に指示している。
各自治体では独自の条例をつくり始めている。国土交通省や都道府県のホームページ等で公表されている洪水浸水想定区域や、市区町村のホームページ等で公表されている洪水ハザードマップの地域では設置そのものを禁止する動きだ。数々の水害に見舞われてきた石川県の小松市では、都市型水害から市民の生活や財産を守る「総合治水対策の推進に関する条例」を制定し、洪水ハザードマップなどの地域に太陽光発電施設などを設置する際は行政との事前協議が必要としている。
損傷した太陽電池パネルは日が当たると発電し、感電や火災につながる可能性がある。可能ならばパネルの表面に遮光を施す、たとえばブルーシートや段ボールで覆う、裏返しにするなどの対策が必要となる。文明の利器も災害時には凶器となるのだ。
(※写真は能登半島の尖端、珠洲市にあるソーラー発電施設)
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