自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★メダルラッシュに沸く そしてあの論調はどこへ

2021年08月05日 | ⇒メディア時評

    金メダルのラッシュだ。きのう夜、民放テレビでレスリング女子フリースタイル62㌔級の決勝を見ていた。日本の川井友香子選手がキルギスの選手を4‐3で下し、金メダルを獲得した。川井選手の姉の梨沙子選手も前回のリオデジャネイロ大会の63㌔級で「金」を獲得していて、きょう夜は57㌔級で決勝戦に臨む。姉妹で金メダリストなのだ。そして姉妹は、石川県津幡町出身ということもあって、当地ではかなりテレビの視聴率は高かったのではないだろうか。

   オリンピックの地ダネだけに、地元紙の朝刊は派手に報じている=写真=。「友香子 金 井川姉妹でメダル」(8月4日付・北國新聞)、「川井友『金』 姉・梨沙子連覇に王手」(同・北陸中日新聞)とどれも一面トップだ。北國は両面見開きの裏表で「2人の夢 たどり着いた妹」と特別紙面を組んでいる。。

   話はそれるが、1ヵ月前、オリンピックの開催については反対意見が盛り上がっていた。東京五輪の中止を求めるオンライン署名サイト「Change.org」の署名は45万筆を超えていた。署名の発信者は弁護士の宇都宮健児氏で、相手はIOCのバッハ会長らだった。そして、もっとも強烈なメッセ-ジを発したのはトヨタだろう。7月19日、トヨタは東京オリンピックの大口スポンサーでもあるが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中での開催の是非について世論が割れていることを理由に、オリンピック関連のテレビCMをいっさい見送ると発表した。CMはすでに完成していて、流すだけになっていた。確かに五輪番組をテレビを見ていてもトヨタのCMは見ない。

   東京オリンピックの開催に疑念を呈していたテレビメディアも新聞メディアもまるで「手のひら返し」をしたかのように、連日オリンピックの競技を報じている。NHKや民放のテレビのアナウンサーの大声は特に響く。

   いま思えば、コロナ禍でのオリンピックは是か非かという単純な論調、あるいは読者や視聴者に分かりやすかった。ただ、どのような工夫を凝らせばオリンピックの開催は可能かという論調はあったのかもしれないが、印象に残るメディアの論調はない。トヨタのCM見送りは当時の世論を見極めた上での判断だったのだろう。ただ、いまどう思っているのだろうか。

⇒5日(木)午後・金沢の天気     くもり一時あめ


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