自在コラム

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☆能登半島地震 紛らわしい「携帯トイレ」って何だ

2024年03月01日 | ⇒ドキュメント回廊

  ライフラインは水道と電気が復旧すればなんとかなると思いがちだが、現実はそうではない。前回のブログで、被災地で水道が復旧したとしても厄介な問題が出ていて、それが下水管の破損と述べた。能登半島の尖端にある珠洲市では下水管の94%に被害が出ていて、市は「トイレに水を流さないでほしい」「仮設トイレを使って」と呼びかけている。

  岸田総理はきょう1日、政府の能登半島地震の復旧・復興支援本部の会合で、上下水道を「住民生活に極めて重要」と強調し、復旧費用への財政支援を大幅に拡充する方針を示した。これと連動して、政府は被災地の復旧・復興に充てるため、予備費などから1167億円を追加すると閣議決定した(1日付・北國新聞夕刊)。上下水道問題、つまり水洗トイレ問題が大変なことになっている。

  先日、珠洲市で被災して避難所にいる知人から、「珠洲に来るなら携帯トイレは必携」とのアドバイスをもらった。このとき初めて「携帯トイレ」という言葉を知った。日本人は水洗トイレが当たり前だと思っているが、冒頭で述べたように通水が可能になっても、下水管が機能不全ならば水洗トイレは使えない。

  そこで、金沢市内で買い求めることにした。ドラッグストアで店員に「携帯トイレはありますか」と尋ねると、「それはホームセンターにありますよ」とのことだった。そこでホームセンターに行き、「携帯トイレはどのコーナーにありますか」と店員に尋ねると、「念のため、携帯トイレはポータブルトイレのことではないですよね」と問い返してきた。2つの違いがよく分からず、「どう違うんですか」とこちらが混乱した次第。そこで、能登半島地震の被災地に行く予定ですが、トイレの下水管に被害があって水を流せないなどと説明した。

  すると店員は「それだったら、おそらくこれですね」と防災用品が並ぶコーナーに案内してくれた。そこにあったのは、「災害非常時・断水時の携帯トイレ」「袋と凝固シートが一体化 防臭・抗菌効果 ラクラク処理」と書かれた袋に入ったものだった。「便袋20枚」とある。説明書きには、洋式トイレ(便器)の便座を便袋で包むようにかぶせて用を足す=写真=。その後、便袋を便器から取り出して中の空気を抜いて口の部分を紐で結ぶ。袋の底には抗菌・消臭の凝固剤のシートが貼り付けてあり、においや尿だまりがしない、とのこと。便袋20枚で価格は2680円(税抜き)、1枚134円だ。

  次に、ポータブルトイレのコーナーにも案内してもらった。プラスティック製の折りたたみ式の洋式トイレだった。コンパクトに収納ができ、防災備蓄としては必要不可欠とある。このポータブルトイレと便袋を自家用車に積んでいれば、いつでもどこでも用が足せる。珠洲の知人に電話で確認すると、「公衆トイレは普及していて、下水管が壊れていて水で便を流せないので、便袋だけでよい。携帯トイレは便袋のことだよ」との返事だった。

  確かにそうだ。でもそれだったら、最初から「便袋」と言って説明してくれればよかったのにと思った次第。言葉の紛らわしさでもある。知人を責めるつもりは一切ない。

⇒1日(金)金沢の天気    くもり時々あめ


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