
その頃、サチコの旅は終わりに近づいておった・・・

貼り付け、陽・・・
掘り込み、陰・・・
このふたつで、世界ははじめてバランスが取れる。

傘立ても同じこと。
見よ。
どうじゃ、この素晴らしい釣り合いときたら・・・

そして、この素晴らしい手際ときたら・・・
傘立て職人もびっくりじゃ。

左様、七日間もの手仕事を通し、サチコはついに到達したのじゃよ。

「やりきった!」という、心の安寧に。

長い長い旅を終え、サチコの顔は充実感と達成感に輝いておった。
完成した作品をながめ、うっとりと恍惚しながら、サチコはこう思ったことじゃろう。
「窯の中でバクハツしませんように・・・」と。
うあー・・・こわ・・・
よく乾かそっと。
長雨、やんでくれー。
おしまい。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園