寒々しい空のもと、作品を乾燥中です。
が・・・中央に不穏な行為の跡を発見・・・
ここを通るかね・・・
あぶねーあぶねー・・・
さて、窯詰めが終わったところです。
そしていよいよ、年に二度しか焚かない「還元焼成」の開始。
還元のメカニズムを理解してない方のために、ちょっと長めに説明させてもらいます。
えーと、いつもの焼き方は「酸化焼成」といって、電気の力で窯を熱し、酸素を窯内に十分に行き渡らせて、作品の焼き上がりを完全にコントロールします。
つまり、とても安定した焼き方なのです。
フラットな色に焼き上げたいクラフト系は、こちらが適してます。
一方で還元焼成は、バーナーを窯に突っ込んで、無理やりに炎で攻め焚きます。
窯の容積よりも大きな炎をブチ込むので、穴という穴から炎がこぼれ出てきます。
これはすなわち、窯内の酸素を使いきってる、って証。
すると、酸欠状態におちいった炎は、窯内の作品の土と釉薬から酸素を強奪しようとするのですね。
ここで、作品の色に変化が現れるわけです。
具体的に言うと、酸化とはすなわち、サビ色をつけることで、還元とは、金属からサビを抜く作業です。
なので、鉄系の釉薬は酸化で赤サビの赤・黄、茶寄りになり、還元で研ぎ抜いた刀のような青寄りになります。
同じ理屈で銅系は、酸化で緑青(ろくしょう=銅サビ)のグリーン寄りに、還元で赤銅(しゃくどう)の赤寄りになります。
酸化は完全にコントロールされた焼き方なのでテストピース通りの色になりますが、還元では窯内の場所によって酸素量が偏るので、酔っぱらい度合いがあちこちで変わり、色の変化も千差万別。
というわけで還元は、どんな色に仕上がるかは炎のご機嫌次第、というギャンブル陶芸でもあります。
NHK連続ドラマの「スカーレット」でやってんのも、こんな作業ですよ。
知っとくと自慢できるかもしれません。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園