七夕伝説のネタでカササギに見立てられる「はくちょう座」を紹介しましたが、
この星座にある1等星デネブのすぐ東にこんな(↓)赤い星雲が存在してます。
【NGC7000&IC5067~70】
キヤノンEOS Kiss Digital X + 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡
ISO800 F2.8 総露出時間128分(8分×8コマ加算×2フレーム並列合成)
[2007年8月 静岡県天城高原にて撮影]
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左側の大きな星雲は「北アメリカ星雲」というニックネームが付いてます。
確かに北米大陸の形によく似てますネ。
一方、右側の少し小さい星雲は「ペリカン星雲」と呼ばれてます。
こちらは言われてみれば、そう見えるかなぁ・・・って感じでしょうか。
これらの星雲までの距離は正確には分かっていないようですが、デネブまでの
距離とほぼ同じなら約1800光年の彼方に存在していることになります。
北アメリカ星雲は、見かけ上の大きさが何と満月の12個分もあるんですヨ。
で、推定されている実際の星雲の差し渡しは数十~百光年ほどになります。
実に太陽-地球間の距離の数百万倍。全く想像できないほどの広がりですネ。
この鮮やかな赤い色は、宇宙空間に漂う星間物質のうちの水素ガスが出しており、
その波長は656nm(ナノメートル)と定まっています。プレゼンなどで使う赤色の
レーザポインターの光が波長650nmですから、それとほぼ同じ波長の光になります。
このように特定の波長で輝く星雲を「輝線星雲」(きせんせいうん)と言うのですが、
その中でも水素に由来する赤い星雲を「HⅡ領域」(エイチツーりょういき)と
呼んだりします。なぜ赤く発光しているのかについて興味のある方は下記のサイト
をご覧になるとよいでしょう(かなり難解ですが・・・)。
http://galaxy.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/mano/gas/denri/denri.htm
HⅡ領域は天の川沿いに点在しており、様々な形のものがあって面白いです。
ただし、一般的には光量が弱い上に、波長656nmの光は人間の目では感じ難いため、
天体望遠鏡を使っても実際に目で見て楽しめるものはごく少数に限られています。
つまり、写真でしかその本来の姿を確認できないようなものばかりなんです。
そのせいか、目で見えないものを無性に撮りたがる星撮り屋たちにとっては
極めて「萌えー(死語?)」な天体だったりします。