Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
【注目の天文現象】
1/18宵 土星と金星が接近

棒渦巻銀河2態

2019-03-06 12:00:00 | 遠征日誌

先週末の群馬遠征での成果の続きです。
春の夜、天の川が地平に横たわる時間帯になると、天頂は銀河系の外がほぼ丸見えの状態となります。
その時の全天を天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ10」で表示すると、
こんな感じになります↓

春の夜空_sn10.jpg

真ん中あたりに水色の楕円マークがひしめき合ってますが、これは全て「銀河」なんです。
で、その銀河の群れの西のはずれに近い天域にある棒渦巻銀河を狙ったのがこちら↓
ngc2903_19.jpg
【NGC2903】
 総露出時間84分(7分×12コマ),トリミングあり

しし座の頭部にある比較的明るい銀河で(と言っても光度9.7等)、2050万光年の彼方にあります。
SBd型の棒渦巻銀河と形態分類されていますが、棒状構造のないSbcと表記している書籍もあります。
腕まで均整のとれた美しい姿で、なかなかの別嬪さんですが、中心部の構造はちょっと複雑な印象。
赤っぽい光点もいくつか認められ、星形成の場であるHⅡ領域が点在しているみたいです。

もう一つ、こんなのも撮影しました↓
ngc4725_19.jpg
【NGC4725】
 総露出時間56分(7分×8コマ),トリミングあり

かみのけ座にある銀河で、こちらは春の銀河の群れの中心付近に位置しています。
距離は約4000万光年。これも棒渦巻銀河のSBb型と分類されることが多いですが、
棒状構造のないSbと表記されたり、中間的なSABタイプとされることもあります。
渦巻銀河のいわゆる「腕」が1本だけ淡くなりながらも半周している独特な姿をしてます。
明るいところだけ見ると、ギリシャ文字のΘがひしゃげた感じのイメージです。

しかしまぁ、渦巻銀河はどれも個性的で面白いですね。
ちなみに、我々の住む銀河系も棒渦巻銀河で、形態分類としてはSBc型とされてます。
天文学の進歩により内部から全体の形態が推定できるというのは、よく考えると凄いことです。
でも、銀河系外から全体の形を確認してみたくなります。まぁ、夢物語ですけどねぇ。

共通撮影データは次のとおり。
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,F2.8,ISO800,
 中型赤道儀使用,口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,
 群馬県下仁田町にて