記事ネタが乏しくなってきたので、撮影機材の話なんぞを取り上げてみたいと思います。
初回はまずカメラについてですが、ちょっと小難しい話になります。
メインで使っているのはキヤノンのデジタル一眼レフ "EOS Kiss Digital X" です。
現行モデルは "X3" になっていますから、2世代前の機種になります。
2007年に購入しました。実は2台所有してまして、うち1台を天体撮影用に改造してます。
改造内容は、撮像センサーであるCMOS基板の前面にある赤外線カット/ローパスフィルタ
という光学素子を交換しているんです。
これまでの記事の中で「星雲」という天体の写真をいくつかアップしてきました。
その中でもHⅡ領域という水素ガス主体の赤い散光星雲は、656nmという比較的長い波長の
光を発しているのですが、普通のカメラではカラーバランスを見た目に近い状態に整える目的で
長波長光をカットするフィルタが内蔵されているため、赤い星雲の写りが悪いんです。
なので、もしそれを綺麗に描出したいなら、フィルタを交換しないとダメという訳です。
但し、改造後にフルオートで撮ると、天体に限らず普通の写真も全て赤み掛かってしまいます。
白い紙を撮ってマニュアルでホワイトバランスを設定する機能を駆使すれば、
一応見られる写真にはなりますが、逆に藍色や紫色系統の発色がおかしくなったりします。
そこで一般撮影用に未改造品をもう1台用意しておきたかったというのが実情です。
さて、問題のフィルタ交換ですが、そのスジの専門店(例えばこちら)でやってくれます。
構造が簡単なカメラなら、フィルタだけ購入して自分で交換したりする人もいますが、
個人的にそんな技術も勇気も持ち合わせていませんので、某専門店に作業代金まで支払って
交換してもらいました。
改造すれば当然メーカー保証外となりますので、それなりの覚悟が必要だったりします。
と言っても、保証期間はたったの1年ですし、改造に起因したトラブルの疑いがあれば、
交換作業をお願いした専門店に相談すればよいので、さほど大きなリスクはないとみてます。
で、改造の効果はというと、これ(↓)をご覧いただくと一目瞭然です。
はくちょう座の一角を写したもので、左が未改造品、右が改造品による撮影画像です。
赤い星雲の「色のり」がかなり違っているのが分かるかと思います。
なお、使用レンズは違いますが、同じ50mmの焦点距離で(若干トリミングあり)、
絞り(F4)や露出時間(3分×5=15分)も同一にしています。
また、同時に撮影しているので、空の条件も差はないはずです。
しかしまあ、星撮り屋はなんともマニアックなことをやるもので、
傍から見ればとんでもない物好きと思われても仕方ないでしょうね。
なお、念のため付け加えておきますが、このカメラでは赤外線波長までは写せないので、
よからぬ使い方を考えても無駄ですよ。
コメント
あなたのブログにコメント投稿されたものです。
- まめ八 [2009年10月8日 20:24]
- こんばんわ。
なるほど!
fornax8さんの素晴らしい写真は、こうした理由もあるのですね。
またそうした改造を請け負う業者もあるなんて始めて知りました。
最後のくだり・・・
昔、高校の写真部で銀塩フィルムを使っていた頃に赤外線フィルムを使うと下着が透けて見えるなんて話があり、部費で購入して、校内で評判の可愛い娘を望遠レンズで激写!ワクワクしながら現像して見たところ、見事に期待を裏切られ、部員一同落胆した事を思い出しました。(^O^)
今から思えばいい時代でした。 - fornax8 [2009年10月8日 21:52]
- まめ八さん、こちらにもコメントを頂戴しまして感謝です。
お金持ちクラブの方々は、さらに撮像センサーの熱ノイズを抑えるためにペルチェ冷却
改造まで頼んだりするんですよ。趣味の道具にお金をつぎ込む人が結構いることを
メーカーや販売店はよく知ってるのでしょう。
しかしこういう趣味の世界にも、ある意味格差社会の一端が垣間見えてる感じもします。
デジイチを複数台持ってるオマエが言うなーって非難されそうですが・・・
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