そろそろ月の出が遅くなってきたので、土曜日の晩に富士山西麓まで☆撮り遠征してきました。
新調したフィルターでの試写が主目的で、最初の釣果はこんなのでした。
【網状星雲】
キヤノンEOS Ra+SAMYANG135mmF2 ED UMC,F2.8,ISO800/6400,クリアフィルター/NBZフィルター,
1.6倍クロップ,総露出時間20分(各フィルターで2分×5コマ,加算コンポジット),
タカハシEM-200Temma2M赤道儀,口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド
新たに入手したのはNBZという天体撮影用の特殊フィルターで、それを使った初撮影なのでした。
このフィルターは水素が発するHαという輝線と酸素が発するOⅢという輝線の波長だけを選択的に透過し、
それ以外の波長の光をカットしてしまうもので、いわゆる散光星雲の中でも輝線星雲と呼ばれる天体を
コントラスト良く写すために開発されたデュアルバンドパスフィルターと呼ばれるものになります。
ちなみに、Hα光は波長656nmで色的には赤、OⅢ光は波長501nmで色的には緑にそれぞれ相当します。
撮影した網状星雲は超新星残骸という類の星雲なんですが、HαとOⅢの両方の輝線が混在した天体で、
この手のフィルターの効果を見るには格好の被写体と言えます。
比較用として無色透明なクリアフィルターを用いた撮影も行ったんで、比較してみると・・・
(左:クリアフィルター・ISO800,右:NBZフィルター・ISO6400)
どちらも露出2分×5フレーム加算コンポジットの画像ですが、星雲のコントラスト差は一目瞭然ですね。
なお、NBZフィルターでは露光量が激減するためISO6400まで上げてます。一方、クリアフィルターでは
同感度で撮影すると光害の影響で背景がほとんど真っ白になってしまうため、ISO800に下げましたが、
それでも星雲が埋もれかかってます。
ということで、NBZフィルターは劇的な効果を示すことが分かったんですが、実は副作用があります。
青色と黄色がほぼ欠落したイメージになってしまうんです。これはもう劇薬って感じかも?
そこで、クリアフィルターで撮った画像とNBZフィルターで撮った画像をブレンドしたのが
最初に示した画像なのでした。それでも星の色とかがちょっと物足りないなぁ・・・
で、もう一つの試写画像がこちら。
【ハート&ソウル星雲】
キヤノンEOS Ra+SAMYANG135mmF2 ED UMC,F2.8,ISO6400,NBZフィルター,1.6倍クロップ,
総露出時間20分(2分×10コマ,加算コンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド
カシオペヤ座にある大型の散光星雲です。こちらはHαの輝線星雲なので真っ赤っかなんですが、
たった2分露出で深紅のイメージがモニターに映し出された時は、現場で唖然としてしまいました。
ところで、フィルターというとレンズの前に取り付けるのが一般的ですが、今回使用のレンズに合った
サイズのNBZフィルターは無く、望遠鏡での撮影にも適用したかったんで、ドロップインフィルターと
称する、言わばユニバーサルタイプのものを購入したのでした。これはキヤノンのミラーレス一眼の
RマウントにEFマウントのレンズを装着するためのマウントアダプターの一種にフィルターを交換できる
タイプのものがあって、それに対応した枠付きのフィルターなのでした。実物はこんな感じ。
カメラとレンズの間に入る恰好になるので、撮影光学系(レンズや望遠鏡)を選ばないという訳です。
また、別途用意したクリアフィルターにすぐ交換できるので、輝線星雲以外を撮る際には切り替えが
容易にできるというメリットがあります。ただ、フィルター交換時にはフォーカスの再調整が必要でした。
さて、NBZフィルターは市街光も大幅にカットしてくれるので、空の暗い場所でなくても淡い天体を写せる
可能性があり、近場で撮れる対象が増えるかもしれません。
似たような特性のフィルターで、通常のねじ込み式のものは既に持っていたんですけど、
撮影対象ごとに取り外すのが面倒な感じだったんで新調しました😃
今回の試写がスゴイ結果だったんで、これから多用することになりそうです!
うわあ 素敵 網状青雲も ❤️ハート&ソウル星雲❤️も はっきり写っておられてさすがですわあ!
専用フィルター 素晴らしいですねえ!
スターライトテラスさん プロフェッショナルですわあ!