うちの子の……

どうやら、私は年配の人、だいたい60から上くらいの人に気に入られるようです。特に、おばちゃんや おばあちゃんの受けがいいのです。別に綾小路きみまろのお株を奪うつもりはないのですが。

道端で、見知らぬおばちゃんから、いきなり
「お姉ちゃん、かっこいい」
と声をかけられることがあります。それも過去に1度や2度ではありません。何だろ?

ときには頂き物も。公園で、御年80くらいの老婦人に声をかけられて話し始めたときは、おまんじゅうを頂きました。話が長くなったので近くのベンチに座り、戦争の話やらダンナの話やら、延々と話し込むうちに、おまんじゅうが出てきたのです。恐縮しましたが、無下に断ると場の雰囲気が壊れます。おまんじゅうをつまみながら、さらに話し込みました。お茶も出てきましたが、そこまで頂いては申し訳がありません。たまたま持っていた自分のお茶を飲みました。

おじいちゃんとお話をすることもあります。男性の場合は、私のカメラを話の糸口にすることが多いようです。おじいちゃんからも頂き物をします。「これ、やる。持ってけ」って。生活に余裕があるように見えない場合は心苦しいのですが、「持ってかんか」と強く押されると、相手の顔を潰すわけにもいかず、頂くことに。

頂き物は食べ物ばかりとは限りません。バス停でバスを待っている間、たまたま居合わせた老婦人と世間話をしたときのことです。たわいもない話が延々と続いた後、
「ほんとにいい子だねぇ。うちの子の嫁に……」
ちょ、ちょっと待って。いくら何でも、それは やめましょうよ。こんなところで縁談を頂いても困りますし、結婚する気はありませんから。それ以前に、私は見た目は女性でも戸籍上は男性になっているので、男性と結婚するのは無理です。このことはナイショだけどね。

自分では気づかなかったのですが、私は相手の話に合わせるのが得意なようなのです。年配の人は、自分の孫ほどの年の相手と話すことが少ないのでしょう。自分の話を聞いて欲しいという思いも強いのかも知れません。私が聞き役に徹して相手に話をさせるようにしているのも、年配者受けがいい理由のひとつかもね。