時計の音とともに

コチ、コチ、コチ……

忘れていましたが、寝床の引っ越し先の部屋には、コチコチ音がする時計がありました。

普段は音が意識されないのですが、明かりを落としてひとり静かに横になっていると、時計が刻む音が聞こえてきます。

コチ、コチ、コチ……

静かな部屋に時計の音が響くのもいいものです。

時計の音がすると寝られないという人がいるようですが、私は平気です。新しい寝場所に時計があることをすっかり忘れていましたが、音にわずらわされることはありません。

人間の生活の中で、寝るときに音がしないことが求められるようになったのはいつのことでしょう。昔は、虫の音や木々のざわめき、波の音などが聞こえる中で寝ていたはずです。住宅の遮音性が高くなった現代では音がしないことが普通の状態なのでしょうか。聞いた話では、ある川辺のキャンプ場で、夜、川のせせらぎが耳ざわりで寝られないと苦情が出たとか。川辺のキャンプ場なら水音がして当然。この人たちは何を考えてキャンプに行ったのでしょう。