みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

光景と心理の相互作用

2012年09月13日 22時30分00秒 | お仕事・学び
小説を1冊読みました。スピード感あふれるアクション物でした。感想は「ひとつ大騒ぎをしたね」。エンタメとしては、これでいいのかも知れません。タイトルにひかれて手に取りましたが、ハズレかな。

小説の中で、主人公の左側に何が見えて右側に何が見えて奥に何が見えて……ということは細かく描写されますが、それぞれの場所に物品を配置しただけで、主人公の心情の変化が見えてきません。主人公が何かを見つければ、それに伴う心の動きがあるはずです。

人間は、自分が気にしているものに注意が向きやすい性質を持っています。本人が意識しているか意識していないかにかかわらず、気にしているものを視覚でとらえがちです。例えば、大好きな芸能人の写真であれば、新聞や雑誌の片隅に小さく出ているだけでも目ざとく見つけることでしょう。小説の中で登場人物が視野にとらえたものがどんな意味を持つのか、その人物の心の動きから描写して欲しいところです。

また、登場人物が見たこと・聞いたことなどに影響されて心のありようも変わるはずです。光景がその人物の行動をどう変えていくか。行動が変化すると、その人物が見るもの・聞くものも変わります。光景と心理が相互に影響し合いながら*ストーリーが展開していかないと、小説が単に「ここに行った」「ここで何をした」の列挙で終わってしまいます。

男性作家は、この心理描写が雑なことが多いです。今回の小説も雑でした。単に行動が時系列に列挙されただけという印象です。

*光景と心理が相互に影響し合う様子を伝えるためのいい例えが思いつきません。同時に相互に影響し合うので、車の両輪とはニュアンスが違います。電場と磁場のように絡み合って波紋のように広がるイメージなのですが、物理学に興味がない人にこの例えは通じませんよね。困ったなぁ。いい例えがないかなぁ。

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