小説の読み返しとは

図書館から借りていた小説1冊は、結局読まずに返しました。

手元に在庫として置いてあった本には手をつけずに、先月末に手に取った小説を何度も読み返しています。

何日も読み込みを続けるうちに徐々に、最初に味わった衝撃が薄れてきました。

初めて読んだときは怒涛 (どとう) のように次々と出来事が積み重ねられていくように感じましたが、出来事自体はいずれも意外とシンプルです。どんな伏線になっているのか (後でどのように効いてくるのか)、よく分からないエピソードもあります。

先の展開が分からない状態で読むのと、既に分かってしまって読むのとでは、事情が違うのでしょう。一度頭の中をリセットしたい気分です。

小説の読み返しは、芝居を演じるのに似ています。

俳優は、芝居をするときに、次に言うべきセリフが既に決まっているにもかかわらず、あたかもその場の成り行きで会話しているかのようにセリフを言います。あの人たちは、どうやって「その場の成り行き」を演出しているのでしょう。どうやって「その場の成り行き」に身を置くのでしょう。