日本語学校、退学したら賠償金300万円? 元留学生から疑問の声
2022/02/27 06:00
(河北新報)
「コロナ禍で学費が払えず、退学しようとしたら賠償金300万円を請求されそうになった」。宮城県内の元留学生の女性から、日本語学校の対応を問題視する声が「読者とともに 特別報道室」に届いた。高額の賠償金は留学生を自由に退学させないためとみられ、専門家からは「留学生の弱い立場に付け込んだ人権侵害だ」との声が上がる。
■コロナ禍で学費払えず
30代のベトナム人女性は2020年11月に留学ビザを取得して入国後、仙台市青葉区の日本語学校に入学した。日本語を2年間学び、将来は日本で介護の仕事に就く夢を描いた。
夢は出足でつまずいた。新型コロナウイルスの感染拡大でアルバイト先の飲食店が時短営業を強いられ、収入は想定を大きく下回った。約40万円あった貯金も半年ほどで底を突いたが、学校側からは2年目の学費50万円の支払いを求められた。
学費を払えず、就労のために退学の意向を伝えたのは昨年6月。学校側は賠償金をちらつかせ、勝手な就労を認めないと反対した。
河北新報社は、この際のやりとりを記録した音声データを入手した。「経済的に厳しく貯金もない」と苦境を訴える女性に、学校側は「そういうことなら帰国するしかない。就労とか他のビザに変更した場合は300万円を請求する。就労ビザに変えてもいいと思っているなら間違いだ」と詰め寄った。
女性が入学時に署名した誓約書は1枚。「勝手に留学ビザから就労等他のビザに変更しない」の記載があり「違反した場合には300万円の損害賠償金の支払いに応じます」と書かれている。
以下略)