大工のうっかり? 400年前のノミ、国宝の屋根裏で発見 京都
2022/10/18 19:56
(毎日新聞)
大工のうっかりか、工事の無事祈ったか? 大徳寺(京都市北区)の国宝・方丈の屋根裏から、約400年前の「ノミ」が見つかった。解体修理に伴い、屋根を支える垂木(たるき)を外したところ、裏板との間に挟まった状態で残されていたという。18日に発表した京都府教委によると、この場所は過去に解体修理の実績がなく、1635年の建立時に置かれたまま時が経過したとみられる。
ノミは全長23・3センチ、刃幅1・7センチで、刃は鉄、柄はカシの木で作られていた。現代のノミは片側にしか刃がないが、見つかったノミは江戸時代初めごろまで使われた両刃タイプで、発見場所近くの木材からは、このノミと合致する刃の跡も見つかった。
一体なぜこんな場所に置かれていたのか。大工道具の歴史に詳しい建築技術史研究所の渡辺晶所長(69)によると、当時は鉄が貴重で道具は研いで使い続けるものだったという。「工事を無事に終えるための『お供え』だった可能性もある」と指摘する。解体修理現場で主任を務める竹下弘展さん(46)も「大工が大事な道具をうっかり置き忘れるとは考えにくい。何らかの目的でわざと置いたのでは」と推測する。府教委職員で大工の音辻圭志郎さん(31)は「棟木の上などに置くのなら分かるが、なぜこんな形で……」と首をかしげる。
府教委は11月5、6両日の午前10時〜午後4時、現地で一般向けの無料見学会を開き、ノミも紹介する。府民総合案内・相談センター(075・411・5000)。【南陽子】