防衛費、5年で40〜43兆円 政府が調整、現行計画の1.5倍
2022/12/01 20:37
(毎日新聞)
政府は1日、年末に策定する2023〜27年度の中期防衛力整備計画(中期防)の規模を40兆〜43兆円とする方向で調整に入った。現在の中期防(19〜23年度)の約27兆4700億円から約1・5倍となる。各年度の防衛費を毎年増額して対応する。
防衛費の増額を巡っては、岸田文雄首相が11月28日に浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相に対し、27年度に防衛関連予算を国内総生産(GDP)比2%に達する規模まで増額するよう指示。具体的な中期防の規模について政府内で詰めの作業が続いている。
防衛省は当初、中期防の規模を約48兆円とする見積もりを示し、財務省側は30兆円台半ばを主張していた。首相の指示を受けた後、両省は妥協点を探る検討を加速。政府関係者によると、防衛省は約43兆円とする案を主張し、財務省は約40兆円まで圧縮するよう求めている。この40兆〜43兆円の水準を軸に、近く首相を交えて協議し、最終判断される見通しだ。
22年度当初予算の防衛費は約5・4兆円。27年度にGDP比2%の約11兆円となるように、毎年防衛関連予算を積み上げていくことになる。政府は防衛省予算以外の国防関連予算もこの中に含める方針で、具体的にどのような事業が含まれるかも今後の検討事項となる。
日本の歴代内閣は防衛費をGDP比でほぼ1%以内に収めてきており、2%への引き上げは安全保障政策の大転換となる。防衛費を増額するための財源をどう手当てするかも大きな焦点。岸田首相は歳出・歳入両面での財源確保を年末に決定する方針も示している。与党の税制調査会では防衛費を賄うための増税議論が今後本格化するが、自民党内には増税に否定的な声も根強く難航が予想される。【松倉佑輔】